菅直人首相の早期退陣の可能性が出てきた。もし首相が退陣することになれば当然、女房役の枝野幸男官房長官も退任するとみられるが、ご本人はなぜかこのところすこぶる機嫌がいいらしい。

5月31日に議員会館の枝野氏の部屋で、官房長官番の政治記者が枝野氏の47歳の誕生日を祝った。枝野氏は終始にこやかで、誕生会に押しかけてきた同じ埼玉選出の本多平直衆院議員と「掛け合い漫才」のようなやりとりを始めた。

内閣不信任案提出の直前だったため、自然と話題はそこに向かい、本多氏が「不信任案に賛成?反対?」と振ると、枝野氏は「立場上反対。本心は別にして」とニヤニヤ。

さらに本多氏が「菅さんに成仏(注・理解しづらいが、本多氏によると菅氏が満足することらしい)してもらって、その後は、枝野グループが樽床伸二グループや玄葉光一郎グループなんかに負けないようにするぞ」と宣言すると、枝野氏は「そんなこと言うと、絶対週刊誌に書かれるぞ」とすかさず突っ込みを入れた。

すっかり舌が滑らかになった枝野氏は、原子炉のベントを始めないことに業を煮やした菅首相が東京電力に乗り込んだときの模様に触れて、「その瞬間は菅さんが首相でよかったと本気で思った。菅さんでなければ、もっと大変なことになっていた」と持ち上げたものの、続けて「こんな大変な局面は、菅さんのような変人でないと務まらないもの」と余計な一言をポロリ。

また枝野氏は、「本当は5年ぐらい先を予想していた」と、予想外に早い官房長官のポストに満面の笑み。「官房長官は面白い」「幹事長よりずっと楽しい」と、選挙で敗北を重ねた幹事長時代を振り返った。ポスト菅を狙える位置にいるという自信からか、誕生日会の前にも、枝野氏は周辺にこんな軽口を叩いている。

「仙谷由人官房副長官は菅さんのことなんて念頭にない。私も仙谷さんも『菅機関説』なんだ」「菅さんはずっと前から『おれの寝首をかくやつに出てきてほしい』と言っていた」

枝野氏は自らを「政策の人。政局にまったく関心がない」と評しているが、やはり野心というものは言葉の端々に見え隠れするようだ。