グーグルとアップルに学んだオフィス計画

【田原】でもね、ビジネスするなら東京のほうが便利じゃないですか?

実際、地方で起業しても、大きくなると東京に行く会社は多い。

【柳澤】「何をするか」だけにこだわると東京に行くと思います。でも僕たちは「誰とやるか」「どこでやるか」を重視している。

【田原】東京はダメですか?

【柳澤】そんなことはない。東京が好きな人もいますから。それぞれの地域が好きな人がいるということです。

【田原】柳澤さんは東京が合わないんだ?

【柳澤】合わなくもないですよ。ただ、自分たちでつくれるサイズ感というものがある。「東京は俺がつくっている」といえるポジションで働くなら面白いですが、それはなかなか難しい。

【田原】なるほど、柳澤さんは東京に吸収されるのが嫌なんだね。つまり主体的でありたいんだ。

【柳澤】そのほうが面白がれるじゃないですか? 地域にコミットできたほうがきっと面白いです。

【田原】地域にコミットする活動の1つで、「カマコン」をつくったそうですね。これは何ですか?

【柳澤】鎌倉を面白くするための地域団体で、2013年に鎌倉に拠点を置く7社で立ち上げました。いま約40社になって、毎月の定例会には約200人が参加。毎回数人がプロジェクトを持ち込んでプレゼンをします。約3割はプロジェクトとして継続しています。

【田原】なんでそんなグループをつくったの?

【柳澤】カヤックで実験した“面白く働くための秘訣”を分解していったら、地域にも活かせそうだなと。実際、やってみたら活かせました。

【田原】面白くする秘訣って?

【柳澤】たとえばブレーンストーミングです。カヤックを20年やって、ブレストが面白がり体質になるトレーニングになるとわかった。それをカマコンでもやっています。

【田原】どういうこと?

【柳澤】うちの会社のブレストは「アイデアをとにかくたくさん出す」「人のアイデアに乗っかる」がルール。これを続けると左脳的な論理的脳の使い方ではなく、右脳的な脳の使い方が身について、面白がり体質になる。

【田原】ちょっとわからないな。