プレゼン勝率9割を誇るコンストラクションマネジメント会社の看板コンサルタント。日本ハム新球場など巨大プロジェクトを手がける。

役員といえども、走り回る!

建設に関わるプロジェクトの提案から工事施工、運営管理まで、トータルで関与するのが我々コンストラクションマネジメント会社です。受注につなげるためのプレゼンはおよそ1時間。そのなかで私が常に意識しているのは、「クライアントにとって一番大切なことは何かを間違えないようにする」ということです。

山下PMC取締役専務執行役員 木下雅幸氏

プレゼン側の私たちはついスペックや技術論から入ってしまいがちですが、クライアントの関心はあくまでも「その建物を使って何ができるのか」ということです。そこで私は「我々はあなた方にとって大切なことが何かを理解しています」というアピールから入ります。そして「この建物でクライアントのニーズをどう実現するか」のストーリーを語り、それによって「この人に頼みたいな」と思ってもらうのです。これが勝利の方程式です。

もっとも、多岐にわたる私の仕事のなかで、プレゼン役はその一部。このところますます忙しくなってきているなかで、仕事の質も変わり、事務作業より人と会うことが増えました。半分は今やっている仕事の打ち合わせ、ほかは潜在ニーズを捉えるための営業活動です。当社は大きな会社ではないので、役員といえども走り回らなければいけません。

多忙を乗り越え、期限内に結果を出すためには「準備」と「実践」の両面で自分を鍛える必要があります。

準備とは経験値を高めることです。ある仕事に必要な準備が的確にできるのも、過去の仕事からくる経験値があってこそ。

経験と経験値は違います。経験を経験値に変えるには「過去の振り返り」が欠かせません。辛くても失敗の原因を確かめておくことがとりわけ重要です。

また人が自分で経験できることには限りがありますから、1つの経験からより多くの経験値を得るために、頭のなかで自分とは異なる立場から経験を振り返るとか、未来に起きそうな出来事についてロールプレイングしてみることも有効です。