僧侶が「#僧衣でできるもん」で縄跳び動画アップ

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/kozuephotography)

京都では現在、官民あげて和装の普及に取り組んでいる最中で、着物姿で街を歩けばさまざまな特典が受けられる。和服姿の観光客がレンタカーを運転する姿もしばしば目にするほどである。

私の近隣でも、日常的に車やバイクや自転車に乗った僧侶が往来する。それはごく自然な風景である。私も法衣姿で自動車を運転することがあるが、とくに1日数十件の檀家さんの自宅を回向(えこう)して回るお盆の季節は、いちいち着替えてなどいられない。

福井県警は「法衣が問題なのではなく、着方が問題」としているが、そもそも日常的に着用する法衣(改良服と呼ばれる)は動きやすく仕立ててあるものだ。現場で取り締まった警官が法衣の知識が及ばなかったのは当然であろうが、その後付けの理由が苦しい。

県警は、「裾をたくし上げたり、袖がシフトレバーの邪魔にならないようにまとめたりするなどの工夫があれば、問題なし」としている。が、袈裟(けさ)の裾をたくし上げれば下半身が露呈してしまい、別の問題が起きそうである。そもそも、オートマチック車全盛の時代に「袖がシフトレバーの邪魔になる」という解釈は疑問だ。

さまざまな報道を受け、ネット上では全国の僧侶が「#僧衣でできるもん」というハッシュタグをつけ、縄跳びなどの複雑な動きが可能とする動画をアップするなど、抗議行動に出ている。

そもそも法衣(僧衣)とは何か

しかし、ひとたび青切符を切った以上、それが撤回されることはまずありえない。最終的には裁判所の判断に委ねることになりそうだ。

私は個人的にはさっさと反則金を納めて、下手に裁判所の判断を仰がないほうが得策ではなかったかと思う。青切符が正当であると裁判所の判断が下れば、取り締まりが強化されかねない。

本件は仏教界において、歓迎される事態ではない。しかし、法衣が注目が浴びること自体は、悪いことではない。ここで少し、法衣についてその歴史とともに解説したい。

今回、取り締まりを受けた僧侶が着用していた法衣は、浄土真宗では布袍(ふほう)と呼ばれるもの。しかし、私の所属する浄土宗や他宗では「改良服」という名称で使われている。ここでは改良服の名称で解説する。

そもそも法衣(僧衣)とは何か。標準的な衣体は、白衣の上に、黒衣(法要などでは僧階に応じた色付きの衣をまとう)を羽織り、袈裟を着用する。この僧侶が着用する衣服の総称が、法衣(僧衣)と呼ばれている。しかし、現場の僧侶が「法衣」と呼ぶことはあまりない。「衣」あるいは「袈裟」と呼ぶことが多い。袈裟は厳密には法衣の一部を指す。