利用者の満足度調査で「不動の2強」となっているドラッグストアがある。福岡を拠点に900店舗以上を展開しているコスモスと、関東圏で500店舗を展開するクリエイトだ。ドラッグストアの品揃えは、一見、どこも似通っている。なぜこの2店は圧倒的に強いのか。日本生産性本部の小倉高宏氏が「満足度調査」から秘密を探る――。

ドラッグストア「不動の2強」

ドラッグストアの市場規模はコンビニ市場と同様、長期的に拡大し、この10年で約1.4倍にまで成長した(図表1)。2016年には百貨店の市場規模を上回り、2017年には6兆8000億円を超え、スーパーマーケットの市場規模(約13兆円)の半分を超えている。ドラッグストアの店舗数は約1万5000店舗で、コンビニ大手のローソン(約1万4000店舗)やファミリーマートの店舗数(約1万6000店舗)に匹敵する。

(図表1)主な小売業態の市場規模推移(画像=小倉高宏)

日本生産性本部・サービス産業生産性協議会(SPRING)では、主要なサービス業約400社を対象とした顧客満足度に関する消費者評価の総合調査「日本版顧客満足度指数(JCSI:Japanese Customer Satisfaction Index)」を毎年実施している。

ドラッグストア10社について、2017年11月から12月に、1社当たり約300人の実利用者(半年以内に2回以上利用)に回答を求めた結果、2017年度の顧客満足(以下、満足度)は1位がコスモス(本社:福岡)、2位がクリエイト(本社:神奈川)となった(図表2)。

(図表2)コスモスとクリエイトは1~2位の常連である(画像=小倉高宏)

九州を拠点に中四国や関西などで900店舗以上を出店しているコスモスの満足度1位と、関東圏に500店舗以上を出店しているクリエイトの2位は「定位置」である。競争が激しいドラッグストア業界で、コスモスとクリエイトが高い評価を獲得し続ける要因はなんだろうか。

コストパフォーマンスの評価で1位

JCSIの6指標の一つに「知覚価値」がある。これは金銭的コストや手間暇の時間的コストに対する品質評価を意味し、いわゆるコストパフォーマンスに相当する。満足度が1位のコスモスは知覚価値でも1位の常連である。

知覚価値を点数化する際、3つの設問を合成して点数を算出している。その知覚価値の個別のスコアを見ると、コスモスは「支払金額に対する、商品・サービス・店舗・従業員などさまざまな点から見たドラッグストアの総合的品質」と、「他のドラッグストアと比べてのお得感」で1位であった。