ロシアが嫌いな産経新聞は「4島返還」を主張

次にロシアが嫌いな産経新聞の社説を読んでみよう。

産経社説は「安倍首相が『2島返還』を軸にした交渉に舵を切ったとの見方が出ている」と書いたうえでこう主張する。

「そうだとすれば、共同宣言以降の60年余り、四島の返還を目指して日本が積み上げてきた領土交渉をないがしろにしかねない」
「合意が、四島返還につながる道筋を示していないのは極めて残念だ。ロシアが、日本は四島を取り戻すという立場を後退させたとみなす恐れがある」

見出しも「『56年宣言』基礎は危うい」「四島返還の原則を揺るがすな」である。産経社説はあくまでも「4島返還」なのだ。その主張はずっと変えていない。だから分かりやすい。

分量も他紙の2倍の1本社説の扱いだ。よほど安倍首相の外交方針の転換が気に食わなかったのだろう。

朝日社説も外交方針の転換を問題視しているが、産経社説と朝日社説とが大きく違うのは、産経社説は安倍首相が嫌いなわけではなく、ロシアという国そのものが嫌いなのである。

「相手の弱みにつけ込む」のがロシアという国の体質

「先の大戦末期に、日ソ中立条約を破って参戦したソ連が、北方四島を不法占拠した。プーチン氏のロシアが行ったクリミア併合と同じ『力による現状変更』にほかならない」

産経社説がこれまでロシアを批判してきた根拠は、この「旧ソ連の日ソ中立条約を破った参戦」にある。それはロシアという国の体質なのだろう。他国が弱ったところを捉えて攻撃する。相手の弱みにつけ込む。間違いなくプーチン外交もその延長線上にある。だからこそ、日本政府は弱みを見せてはならない。

安倍首相はプーチン氏と深い信頼関係ができているという。しかし中立条約を無視した国の代表だ。プーチン氏はいつ牙をむいて襲いかかってくるか分からない。安倍首相はその辺をどこまで理解できているのだろうか。

「国の根幹」「先祖」「子孫」という単語を並べる産経

続けて産経社説はこうも書く。

「安倍首相とプーチン氏は『戦後70年以上、平和条約が締結されていないのは異常な状態だ』との認識を示してきたが、それを招いたのは、ひとえに不法占拠を続けてきたロシア側なのである」
「領土は、国民や主権と並んで国の根幹をなすものだ。先祖から受け継いだ領土を守り、子孫に引き継ぐ。不法占拠されている領土は取り戻す。それが今に生きる世代がとるべき立場である」
「色丹、歯舞は四島の面積のうちわずか7%にすぎない。これだけが日本の求めてきた領土返還でないのは自明であろう」

「国の根幹」「先祖」「子孫」という単語が並ぶ。読売新聞以上に保守的な産経新聞だからなのだろう。沙鴎一歩はそこが嫌いなのだが、今回の主張そのものはうなずける。

(写真=AFP/時事通信フォト)
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