米国で「死亡債(Death Bond)」が注目されている。

「死亡債」の仕組み
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「死亡債」の仕組み

この不気味な通称の由来は、商品設計に由来する。一般名称は“life settlement securitization”、つまり、「生命保険買い取りの証券化」。生命保険を投資会社が個人から買い取り、それを証券化してばら売りする商品である。保険加入者からすると、死んだ後に保険金を受け取る権利を売却して、生きている間に現金をもらえる。類似する商品としては、住宅ローンを証券化したサブプライムローンが挙げられるが、大きな違いはやはり生命を扱う点だ。

問題は、「契約者が早く死ねば儲かる」という倫理上の問題にとどまらない。生保会社は契約上、解約時に支払うお金を安く設定することによって解約リスクを抑えているが、生保契約が売買されてしまうと、解約のかわりに売却する加入者が増える。すると、生保は契約者全体に対してリスク評価を見直さざるをえず、保険利払い水準が下がる現象も起きかねない。ライフネット生命保険副社長の岩瀬大輔氏は、「投資会社が儲かるだけの一時的なアービトラージ(裁定取引)にすぎない。ミドルリスク・ミドルリターンなのは今だけでは」と警鐘を鳴らす。

では、この商品が日本に上陸する可能性はあるのか。2005年に東京高裁で生保の権利譲渡禁止に関する判例が出ており、現段階では難しいと見られるが、間接的に日本でも、この商品に関係する金融機関が出てくる可能性はある。サブプライムの二の舞いにならないことを祈るばかりだ。