<strong>バンダイ社長 上野和典</strong>●1953年、神奈川県生まれ。77年武蔵工業大学工学部卒業、バンダイ入社。2001年取締役、03年常務、05年社長。親会社バンダイナムコHDの取締役も務める。開発畑が長くイラストも得意。アウトドアにも詳しい。モットーは「走りながら考える」。
バンダイ社長 上野和典●1953年、神奈川県生まれ。77年武蔵工業大学工学部卒業、バンダイ入社。2001年取締役、03年常務、05年社長。親会社バンダイナムコHDの取締役も務める。開発畑が長くイラストも得意。アウトドアにも詳しい。モットーは「走りながら考える」。

玩具メーカー・バンダイの社長、上野和典さんの趣味は料理である。

料理歴はかれこれ20年。レパートリーを聞いて、その豊富さに恐れ入った。例えば丸1日かけてじっくり煮込むビーフシチュー、ダッチオーブンを使ったローストチキン、長ネギの粕汁、白子の豆乳だき、手作りアンチョビのスパゲティ、さらに一本鮭からつくるイクラ丼……。一品ずつ手書きのイラストを添えたレシピ帳は5センチを超える厚さである。

「自分で言うのもなんですが、舌が肥えているんです。若い頃から、取引先の社長などに名店へ連れていってもらっていましたからね。食材や調味料、どんな手順で料理されたかまでわかります。記憶をたどれば、その味の再現もできます」

料理を始めたきっかけは、3人目の子どもが生まれたこと。子育てに忙しく休みのない妻を見て「土日ぐらいは休ませてやりたい」と思ったのだという。

まず始めたのは自分専用の包丁や鍋を買いに行くこと。撮影時に着たコックコートも「形から入る」(池谷's EYE【C】)一環で購入したものだが、さすがと思うのはしっかりと「週末は料理」の習慣が定着し、3日坊主になっていないところである。本人の解説によれば、現在は料理修業の第3期。妻や義母からイロハを学んだのが第1期。いろいろなレシピに挑戦したのが第2期。研鑽をつんだいまは、冷蔵庫に残った食材だけでささっとディナーをつくれる域に達した。それでもまだ満足していない。どうすればプロに負けない味を出せるかを貪欲に追求し続けている。

「先日、イタリアンのシェフにパスタソースづくりのコツを教えてもらいました。どうしたらオリーブオイルや素材の旨味などでソースをどろっと乳化させることができるか、やっとわかったんです」