【田原】いまUUUMに所属しているユーチューバーは何人くらいですか。

【鎌田】約4500人です。

田原総一朗●1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。本連載を収録した『起業家のように考える。』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。

【田原】みなさんもともと個人でやられていたわけでしょう。所属すると、どんなメリットがありますか。

【鎌田】僕たちが仕事を取ってきて振ることもあるし、上位のクリエーターになればマネジャーがつきます。マネジャーは基本的に全部やる。スケジュール管理から、企業との折衝、取材対応、経理のチェックまで、全部です。

【田原】商品を紹介してくれという依頼は多いんですか。

【鎌田】僕らが事業を始める13年くらいから、企業がユーチューバーの影響力に注目し始めました。13年の年末にテレビCMにユーチューバーが出て話題になり、そこから彼らを使ったインフルエンサー・マーケティングがグッと広がっていきました。

【田原】動画はユーチューバー自身がつくるんですか。

【鎌田】はい。ただ、ネタを提供したり、撮影の手伝いをすることはあります。ユーチューバーは自分の家で動画を撮ることが多いのですが、広い場所で撮影したいということなら、うちのスタジオを貸したり、こちらでロケの許可を取るために動いたりもします。ロケだと一人で撮影するのは難しいので、マネジャーがカメラを回すこともあります。

【田原】ユーチューバーはUUUMにお金を払って登録するんですか。

【鎌田】とくに契約金はないです。僕ら会社の収入源は主に2つ。1つは、企業からきた仕事の手数料。ある企業から100万円で商品をユーチューバーに紹介してほしいという依頼がきたら、僕らが一部を手数料としていただいて、残りがユーチューバーにいきます。もう1つが、ユーチューブの広告料。動画が再生されるとユーチューブからユーチューバーに広告料が支払われますが、その20%を僕らがいただきます。

【田原】ユーチューブだけで食べられるようになるには、数億回くらいの再生は必要?

【鎌田】数百万再生で食べられますよ。再生回数が少なくてもたとえば釣りとか車のような大人向けのコンテンツを扱っていれば、企業から単価の高い依頼がくる。食べられるかどうかはまちまちですね。

【田原】UUUMは今年8月に東証マザーズに上場しました。いま社員数や売り上げはどうなってますか。

【鎌田】従業員は約190人で、半分がマネジャー。あとは営業と、映像やシステムをつくる人がいます。売り上げは前期が69億円。その前が32億円なので、倍以上になっています。

【田原】動画広告はどんどん増えるからいまのままでも伸びそうだけど、ほかにも何か考えてますか。たとえば海外に進出するとか。

【鎌田】海外はやりたいですね。まずはアジアです。アジアはコンテンツの親和性が高くて、僕らの動画を見てくれる人たちも多い。具体的にいうと、台湾とか、若年層の多いインドネシア。ユーチューブは規制されて見られませんが、日本の10倍の人口がいる中国も検討しています。