「あなた男でしょ!負けて悔しくないの!」

こうした事例は女性に限ったことではないが、もっと凶暴なパワハラまがいの言動で部下を“殺して”しまう女性上司もいる。建設関連企業の人事担当者はこんな事例を紹介する。

「ひとりのプレイヤーとしては優秀でも、自分の価値観だけでマネジメントしてしまう女性もいます。ある女性課長は男性との競争で勝ち残ってきた猛者ですが、性格的にも勝負好きです。部下の企画が社内コンペで選ばれないと『あなたは負けて悔しくないの』としかる。たぶん言われた本人はそんなに悔しいとは思っていない。しまいには『私だって男の中で乗り越えてきたんだから。甘いわよ。あなた男でしょう。しっかりしなさいよ』と執拗に責め立てるのです。彼女の下にいた男性部下の中には、うつになった人や会社を辞めた人もいます」

男だからしっかりしなさい、と言うのは明らかにセクハラ発言であるが、自分の感覚だけでセクハラ、パワハラ混じりで叱責されれば部下も疲弊してしまうだろう。

▼人事部員がほれた「尊敬できる年下の女性上司」

もちろんこんな女性社員ばかりではない。

ある建設関連企業の人事担当者は、女性には勝負好きの人もいれば、相手に感謝してもらうのが好きという人もいると、こう語る。

「有能な女性は組織のメンバーに対する愛情とか、細やかな気配りができる人が多いですね。チーム一丸でがんばろうというときに最も大事なのは、やはりチームの和ですが、メンバーの一人ひとりに細かい心遣いをしてくれるし、堅い雰囲気を和らげてくれます。とくに母親の経験がある管理職は子育てに悩んでいる後輩の女性に『夫が手伝ってくれなかったから私も苦労したけど、こうやってがんばってみたら』と言って励まし、男性では手の届かないところまで配慮してくれます」(人事担当者)

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小売業の人事担当者は、かつて年下の女性上司に仕えたことがあるが、「とても尊敬できる人だった」と語る。

「当時、その女性上司は子育て中で仕事時間に制約がありました。子供の保育園のお迎えなどで早く帰ることもあり、私がその分を助けることもありました。でも、彼女はこちらがサポートすると、私が先送りしていた仕事を『これ、やっといたから』と別の方法でお返ししてくれました。彼女は『借りは作りたくない』と言ってしました。また『時間が限られている以上、頭を使うしかないでしょ』と言うのが口癖で、常に毅然としていて効率的に働く人でした」