英会話について、「ブロークンでも気持ちが伝わる表現をすればいい」「英語は日本語よりもストレートな言語」と思ってはいないだろうか。しかし、それは勘違いだ。とくにネイティヴとのビジネスの現場では、英語にも「品格」が求められる。日本人が見落としやすい語彙や表現について解説した『英語の品格』(集英社インターナショナル)から、すぐに役立つ英語表現を紹介しよう。

ネイティヴが聞いてビックリする表現

読者のみなさん、ちょっと質問させてください。以下の英語表現を聞いてネイティヴ・スピーカーがどのような印象を受けるか、お分かりになりますか?

1. 病気で会社を休んでいる人に電話をかけて、
Please get well.

2. アメリカ人が自分の家に来たときに、
Please take off your shoes.

3. アメリカ人に何か提案されて、それを断るときに、
We cannot do it now.

4. 相手の考えに賛成できないときに、
I disagree with you.

5. 誤解が生じてほしくないときに、
I really donʼt want to have a misunderstanding.

6. 「明日までにこれをしなければなりません」と言いたいときに、
You must do this by tomorrow.

英語としてはどれも間違っていないので、これでいいのではないか、という読者もいるでしょう。しかし、このように言われたアメリカ人はいい気持ちはしません。日本人が正しいと思っている英語が実際にはネイティヴにはどのように聞こえるのか、それぞれ説明しましょう。

pleaseをつけると常に丁寧な言い方になるのか?

日本人が英語について勘違いしている例はたくさんありますが、その1つがpleaseの使い方です。人に依頼するとき文頭にpleaseをつければ、どんな場合でも丁寧になると思い込んでいる日本人が多いように思われます。

ロッシェル・カップ、大野 和基『僕英語の品格』(集英社インターナショナル)

1つ目の例文ですが、病気で会社を休んでいる人に電話して、

Please get well.

と言うと、ネイティヴにはどのように聞こえるでしょうか。「どうか早くよくなってください」という意味になると思っている日本人が多いのではないでしょうか。

実はこれは「早く仕事に戻ってよ!」というような圧迫感のある命令口調に感じられてしまうのです。「早く回復してほしい」という気持ちを伝えるには、

I hope you feel better soon.

と言えばいいのです。決して難しい表現ではありません。pleaseは必ずしも丁寧に聞こえるとは限りません。場合によって失礼にあたることもあるのです。

最近は靴を脱ぐところが増えてきてはいますが、ご存知の通り、アメリカでは家の中でも土足が一般的です。そのため、訪問客に靴を脱いでほしい場合は、それをはっきりと頼む必要があります。お客様に失礼がないように靴を脱いでもらいたいとき、あなたならどんな言い方をしますか?