ハワイ行きの飛行機はどの座席だと頭がよくなるか?

伊丹空港や福岡空港の着陸直前には、いかに住宅地の近くに空港があるかを実感できるので、騒音や振動対策で夜間に離着陸ができない話へとつなげることができる。

そこまで親が話せなくても、後から「関西国際空港は、騒音・振動といった公害対策で海上に作られました」と学んだとき、「そういえばあの時に乗った飛行機……」とつながってくれればいい。

親がそういう“種まき”をしている子ほど、後から伸びる。

機内で携帯ゲーム機やスマホを与えて静かにさせておきたい気持ちもわかるが、できればフライトマップや機内情報誌を見て、いまどこにいるかを話したり、見える風景を使って話をしたりしてほしいのだ。

子どもが小学校低学年以下なら、これから行く都道府県や国の名前を確認したり、地図で見たりして、「沖縄は南のほうにあるね。南の海で泳ぐのは楽しみだね」「北海道は北にあるから涼しいんだね」というように話しかけてほしい。

ただし、あれこれ教えすぎるのは逆効果だ。結局、「楽しかった」という感想だけが残り、何も覚えず帰ることになってしまう。欲張らずに、都道府県名とちょっとした特徴に絞ってインプットしていくことが大切だ。

ハワイ行きの座席「A」から真珠湾を眺める

夏休みにハワイに行く家庭もあるだろう。このときも子どもの座席は「A」がいい。それは着陸のときに見せたい風景があるからだ。

旅行好きにとって「ハワイ線の座席はA」というのは常識だろう。進行方向右端の窓側席だと見えるのは海ばかりだが、左端の窓側席だと街並みがよく見えるからである。何も私はホノルルの街並みを見せたいのではない。真珠湾(パールハーバー)を上空から眺めさせたい。それが「A」の座席を薦める理由である。

太平洋戦争の始まりについて、まだ日本の真珠湾攻撃を知らない子どもでも、「これが真珠湾なんだよ」「昔、ここを日本が攻撃したんだ」と伝えておきたい。何年もすればその景色は忘れてしまうかもしれない。しかし、自分はあの時に飛行機から真珠湾を見た、という事実は記憶される。

そういった“種まき”をしてほしい。

理想としては、ハワイ滞在中に「戦艦ミズーリ記念館」を訪れて日本語ガイドの案内を聞くとよい。ガイドをつけても料金は変わらないし、上空から見た景色を、視点を変えて陸上(水上)から学ぶことで、深く記憶へと刻まれていく。