今後、飲食業界においては、M&Aはますます増加していくことが考えられる。その際に、「個店」の良さと「チェーン店」のスケールメリットが掛け合わさることで、よりコストパフォーマンスの高いお店が増えていくはずだ。

「チェーン店」の傘下で失うもの

一方で、「チェーン店」の傘下に入ることで、本来、職人的な仕事をしていた店の良さが失われる可能性もある。これは、買収する企業が過去のチェーン店での成功体験を踏襲し、過度に効率を追求しすぎることで起きる。チェーン店の経営からみると非効率的な部分が、職人的な「個店」の良さを際立たせていることがある。買収先の企業を、自分たちと同じ経営に染め上げてしまうのであれば、M&Aの意味は「店舗拡大」でしかなくなってしまう。M&Aを成功させるには、非効率的な部分があったとしても店舗の良いところは残すという舵取りをしていく必要がある。

いずれにしても、消費者にとって、飲食業界におけるM&Aの増加は、コストパフォーマンスの高い飲食店が増えることを意味する。過重労働は論外だが、より質の高い食事ができるようになるのであれば、市場での競争は大歓迎である。

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