周囲の人の自分評価は「けっこういい加減」

捜査が長引いていた重大事件(殺人やレイプ、誘拐事件など)で犯人が逮捕されたとき、ワイドショーではよく“近所の住人”や“職場の同僚”が登場し、マイクに向かって興奮気味にコメントする。

「あんな大それた事をする人には見えませんでした」
「挨拶する程度でしたが、感じのいい人でした」
「努力家で仕事熱心な、若手のホープ的存在でした」

驚きを隠せない、というのが相場のようになっているが、リポーターが怪しいところはなかったのかと突っ込むと、歩調を合わせるように意見が変わったりする。

「そういえば、ときどき部屋から怒鳴り声のようなものが聞こえたかしら」
「ゴミの分別がでたらめでしたね。見かねてやり直したことがあります」
「仕事はできたけど、冷たいというか、周囲に心を開かない男でしたね」

どれも嘘ではないだろう。でも、犯人の人柄や性格がそれでわかるかと言えば答えはノーだ。もともと「感じのいい人」の一面もあり、容疑者リストに上っていなかったから周囲が驚いたわけで、日頃からトラブルメーカーだったとか異常な言動が目立っていたなら、もっと早く捕まっていてもおかしくない。

事件を起こしそうにない人が真犯人だったから意外性がある。

でも、いざイメージが変わってしまうと、周囲の人はあっさりと意見を変えてしまう。なぜそうなるのか。