<うまくできているかは気にしない! マインドフルネス瞑想のやり方>

▼呼吸に注意を向ける
ゆっくり呼吸し、鼻の穴周辺の空気の流れや、呼吸と連動する胸やお腹の動きに意識を注ぐ。

▼雑念がわき、呼吸から注意がそれる
外の雑音が気になったり、「うまくできているかな?」と考えたり、呼吸以外のことに注意が向く。

▼呼吸から注意がそれたことを意識
自分の状態を客観的に観察して、呼吸ではなく、別のことに意識が向かっていることに気づく。

▼呼吸に意識を戻し、集中する
雑念を脇に置いて、再び呼吸に集中する。「空気はおいしいんだな」など、呼吸を楽しむ感覚で。

「これは、ルースがドゥティ氏に教えた(1)体を緩める、(2)頭の中の声を止める、というマジックにあたります。上手にやろうとする必要はありません。眠ってしまわないように気をつけて、背筋を伸ばして肩を開き、鼻から取り込んだ空気が温まった状態で再び鼻から出ていくのを感じ取る。その過程で、仕事のことが気になったり、外の物音が気になったり、どこか痒い部分があったり、注意がそれることが必ずあります。そこでそうした雑念をそっと脇に置き、再び注意を呼吸に戻す。ただ、それだけでいいんです。人は仕事モードのスイッチが入っていると、無自覚に体が緊張し、呼吸が浅くなることがあります。でも、少し瞑想しただけで、本来の呼吸を取り戻せるのです」

一般社団法人マインドフルリーダーシップ インスティテュート代表理事 荻野淳也氏

慣れれば、ホームで電車を待つ間やタクシーの中、エレベーターの待ち時間、パソコンが起動するまでの間など、隙間時間を使って実践してもいい。

「マインドフルネスは、本来の脳の状態です。雑事や悩み事でワサワサとなっている脳を、元の状態に戻してあげると考えるとわかりやすいですね」

自らも、毎朝20分の瞑想をしているという荻野氏。今回、スタンフォード大学を訪れ、ドゥティ氏にインタビュー。現在ドゥティ氏は、神経外科医として活躍するほか、ダライ・ラマやグーグルのエンジニアらの協力を得て設立した「共感と利他精神研究教育センター(CCARE)」の所長も務める。

全財産を失ってからどうやって立ち直ったのか。12歳のころルースから教わったマジックは、彼の人生をどう変え、そして影響を与え続けているのか。波乱万丈の人生を通して、マインドフルネスをより深く考察してみたい。