スタンフォード大学で、ドゥティ教授に聞きました!

【荻野】はじめにお聞きしたいのが、ご著書に書かれている教授の半生は実話なのですか? 映画以上にドラマティックで、奇跡にあふれています。

【ドゥティ教授】もちろん、実話です(笑)。多くの方が、読むたびに新しい発見があると言っています。

【荻野】教授は12歳のころ、偶然入ったマジックショップでルースという女性と出会い「マインドフルネス」のメソッドを教わるわけですが、当時は、それがマインドフルネスだとは知らなかったのですよね? でも、練習していくうちに、その効果をどんなふうに実感したのでしょうか。

【ドゥティ教授】ルースに出会う前の私は、怒りに満ちていて、絶望的で、孤独を感じていましたが、ルースと時間を過ごした後は、そういった気持ちが一切なくなりました。彼女が教えてくれた、筋肉をリラックスさせ、呼吸に集中し、頭の中の嫌なことを追い出す訓練は、私をポジティブで前向きにしてくれました。しかし、置かれた環境が変わったわけではありません。

【荻野】父親のアルコール依存症や母親のうつ病、貧困の中での生活は、変わらなかった。

【ドゥティ教授】はい。私はずっと両親や自分たちの生活に対して、怒りの感情を持っていた。酔っ払って何週間も家に帰らない父親、そんな父親を怒鳴る母親、お金がない生活……。でも、マインドフルネスを始めてからは、それはただの「状況」であることがわかったのです。両親の苦しみは両親の混乱や怒りで、私のせいではない。そうして怒りの感情を手放し、その分「思いやり」や「愛」を受け入れたときに、自分が変わったのを感じました。私に対する周りの反応も変わりました。

【荻野】ルースさんが教授に教えた「体を緩める」「頭の中の声を止める」「心を開く」という3つのマジックを実践された結果ですね。そして、第4のマジックである「なりたい自分を描く」ことで、医者になる。金銭的にも、社会的にも成功しました。

【ドゥティ教授】ええ。しかし、改めて振り返ってみると、あのころの私は惨めでした。ペントハウスの最上階に住み、高級車で美しい女性とデートをしていても、虚しかった。