――結婚して2年、妻が仕事を辞めました。保険をかけるかどうか考え中です。

保険の本質は、何かを「ロス」したときの「ファイナンス(資金調達)」です。原則、収入がなければ金銭面の見える「ロス」はないわけですが、家事は奥様がされているのですか?

――はい、妻に任せきりです。妻にもしものことがあったら家政婦を雇わなければ……。

そうですね。その場合は仮にあなたが30年生きるつもりであれば、1年で家政婦にかかる費用×30年分がおりる保険を奥様の分として買うのも一つの手でしょう。

――家事機能をロスと捉えるわけですね。死亡保障についてはわかりました。病気のリスクはどう考えればいいですか?

病気のリスクは誰にでもあります。ですから医療保険は奥様も買っておくといいでしょう。ただし、最優先すべきは「衣食住」です。そこで「保険料を毎月いくら払えるか」を考えるべきです。

生命保険料は、手取り収入の3%から5%の間に留めることです。

――毎月の手取りが30万円であれば、9000円から1万5000円の保険料になるわけですね。

はい。保険料が3%から5%であれば、もし給料が下がることがあってもどうにか調整できるはずです。

――でしたら、もう少し保険料を増やせそうです。今は自分の死亡保険に入っているだけですから。

必要な保障金額はお2人で話し合って決めるといいと思います。お子さんがいれば、学費の保証が必要です。子ども1人あたり、公立で考えるなら1000万円、私立で考えるなら2000万円は最低必要です。

――妻と私の2人なので学費の心配はありません。

それなら必要な保障金額は、奥様の悲しみが癒えて働き出すまでの生活費と考えるのがいいでしょう。儒教にならって「3年喪に服す」のであれば、あなたの年収(手取り金額)の3年分の死亡保険を買うのです。その次にあなたが長期間にわたって病気やケガで働けなくなったら大変なので、就業不能保険を買うかどうかを考えます。最後に、あなたと奥様の医療保険を検討するという順番がいいと思います。

――諸々の合計が手取りの5%を超えなかったときにはじめて妻の死亡保険を考えるのですね。

そうです。上限を超えたら他の保険はいったん買うのをやめる。

それよりも毎日、奥様に愛情あふれる言葉をかけて、大事にする。奥様がストレスで病気になったり、実家に帰ったりすることがないようにする。保険を買うだけでなく、そうしたケアも重要です。

Answer:保険を買うだけでなく、毎日、愛情あふれる言葉をかけましょう

出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険会長 

1948年、三重県生まれ。京都大学卒。日本生命ロンドン現法社長などを経て2013年より現職。経済界屈指の読書家。