業績が伸びている半面、身売り騒動や大規模なリストラなど、何かと騒がしい最近のTwitter。Twitterはどこに向かっているのか。Twitterの真実とは? 日本法人代表の笹本裕氏に、ITジャーナリストの本田雅一氏がインタビューした。

2016年後半、何かと騒がしかったのが米Twitterだ。9月末頃から身売り話が出始め、10月には大規模なリストラを発表した。好調な収益やMAU(月間アクティブユーザー)の増加など、ポジティブな数字が発信されているにも関わらず、好調という印象を持っていない読者も多いかもしれない。

「“表面上の数字”が良く、ブランド力があるうちに、言い換えればこの先成長する余力がないと断じられる前に高く売り抜けたいと考えているのではないか?」……実際、そんな邪推が成り立ちそうなほど、Twitterの周辺には不穏な空気が漂っていた。広告などの売上げは伸びているのに、である。

理由は明快で、Facebookが7000万人の会員数を積み増した2016年第4四半期、Twitterのユーザーは400万人しか増えなかったからだ。両社のサービスは質が異なるとはいえ、Instagramに利用者数で追い抜かれたとなれば注目も浴びる。

2015年Q3から2016年Q3にかけて、Twitterユーザーはワールドワイドで1000万人増えた(月間アクティブユーザー数、グラフの単位は百万人)。グラフの青い部分は米国、グレーの部分はそれ以外の国を示す。

こうしたユーザー数の伸び悩みは、1カ月遅れぐらいでKPI(重要指標値)に影響を及ぼし始め、数カ月後には広告売上げに反映されるようになる。つまり、利用者数の伸び悩みが相対的な競争力の低下を招き、数カ月遅れで広告の売上げが下がるのではないか? これがTwitterに対する市場の見方だったわけだ。 Googleやセールスフォースへの身売り話や300人のリストラの発表も重なって、「Twitterは自主的な事業運営が厳しい状況になっているのでは?」とうわさされるようになっていた。

しかしこの話は、どこまで当たっているのだろうか。 というのも、日本から見たTwitterは非常に健全、いや、過去最高とも言える盛り上がりを見せているからだ。利用者として毎日サービスに触れている限り、「不調」という印象はまったくない。たとえばMAUは、日本ではとうとう4000万を越えたという発表があった。単純計算では、乳児・幼児、老人も含めた全人口の3分の1がTwitterを使っていることになる。 「不調」「身売り」という言葉が似つかわしくない数字だが、もちろんこれは日本の特殊事情で、グローバルの評価では異なるという見方もできる。果たしてTwitterの真実とは何なのか? 日本法人の代表をつとめる笹本裕氏に話を訊いた。