各部門の人事担当者が、たとえばプロジェクトマネジャーやメンバーなどの役割ごとに要求されるスキルなどの要件を提示して募集をかける。社員は自分のやりたい仕事を前もってエントリーし、その希望に沿って人事担当者が案件ごとに調整する。仕事の内容によっては1つのプロジェクトに複数の応募者が集中するが、その場合は面接によって決定する。

 「採用する側がこういうスキルが必要だから彼がほしいと言っても、社員の側も自分のスキルや専門性を伸ばすために今度はこういう仕事をやってみたいというのは誰にでもあります。その結果、社員のほうから断るケースも珍しくありません」(武田副社長)

社員にとっては自分を成長させるチャンスの場でもある。もちろん専門家として社内での認知度が高い人間には大きな仕事と役割が巡ってくるが、逆に言えば“社内労働市場”である以上、売れる人材もいれば、売れない人材も発生する。プロジェクトの成否が同社の価値を左右するため最適な配置を行う必要があり、希望する仕事が回ってこない社員は、奮起して自発的に能力を磨くしかない。

人材投資の規模では同社は世界的にも有名だ。一説には売上高の7~8%を人材教育に投じているとされる。また、外資系には珍しく新卒学生の採用を重視し、1から鍛え上げながら経営幹部を育成する。実際、経営トップは同社の生え抜きである。日本だけではなく「世界各国のトップも社内で育った人間が占める」(武田副社長)など外資系グローバル企業では珍しい存在だ。

膨大な教育投資を費やし、3年程度で一人前のコンサルタントに育て上げるという手法は簡単に他社が追随できるものではない。徹底した人材育成を支えているのは「コンサルタントがコンサルタントのためにつくり上げた“コンサルタントの帝国”」(武田副社長)を目指した確固とした企業カルチャーの存在である。