指定業者になるため
年間1000万円もの経費をかけてボロ儲け!

身内を病院で亡くしたら、葬儀はどこに頼めばいいのか――。多くの病院には、葬儀業者が出入り業者として常駐している。もし、お世話になった病院が紹介してくれたら、間違いはないだろうし安心ではと思うかもしれない。だが結論から言うと、病院の出入り業者は、一般の葬儀業者に比べ、間違いなく葬儀費用は高額になる。

そのカラクリはこうだ。そもそも病院と葬儀業者の関係は、双方に大きなメリットがある(図参照)。


 だが、その力関係は、一般に医療メーカーと病院の関係が取り沙汰されるように、「お客様」を抱えている病院のほうが圧倒的に強い。葬儀業者の中には病院の指定業者となるため、「病院開拓の専門部署」を抱えるところもあるほどだ。

晴れて病院の指定を受けても、関係を維持するため、莫大な経費をかける。保証金などの金銭や物品等の寄付、死亡者が発生したら、すぐさま2名以上で駆けつけるための24時間365日・常駐社員の人件費、その待機用マンションの家賃など。相場は年間1000万円以上とも言われる。葬儀業者にとっては、ほかに潜在顧客と確実に接することのできる手段がないため、何としてでも指定を維持したいのだ。

しかし、その経費は搬送だけを請け負っていたのでは到底、回収できない。病院で出会った遺族から葬儀を受注しなければ赤字となる。それも通常の価格帯では間に合わないため、多くの業者が「かかった経費分を上乗せした価格帯」を設定している。これが葬儀費用が高額となる原因なのだ。

さらに、病院出入りの葬儀業者に関して注意しておきたい点がある。それは搬送を依頼した遺族に対する営業活動についてだ。公正取引委員会が2005年に調査した「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」には、こう記されている。

「病院から自宅までの遺体搬送サービスと併せて、その後の葬儀サービスについても、自己との取引を強制的に促すといった事例がみられた。こうした行為は独占禁止法に違反するおそれのある行為であることから、事業者はこうした行為を行わないようにすべきである」

要は、表面だけ「搬送業者」として病院から紹介を受けているが、実態は「葬儀業者」として半ば強制的に葬儀を勧めているということだ。実際の現場では「葬儀社はお決まりですか?」に始まり、「葬儀をご依頼いただければ搬送費用はサービスいたします」などと、病院の霊安室から営業が始まることもある。

病院から業者を紹介されたからといって、葬儀を依頼しなければならないということはない。「搬送業者」として指定を受けているのだから、搬送だけを依頼すればいい。そして葬儀自体は、金額や内容などをじっくり検討して業者を選定する。それが余計な費用をかけないコツだと覚えておきたい。