上司に説教されたら「目を見てはいけない」

となると、メヂカラ発揮は、上司が説教で終わらせると決めているとき限定の切り札だ。ちなみに実刑なら、上司は短く終わらせたいのですぐ本題に入りたがるか、保身のための言い訳(私は抵抗・反対したのだが、など)を前置きにしがち。そうでなければ執行猶予付き判決と察せられる。裁判なら、思いのたけを裁判官にぶつける被告人の見せ場だが、ビジネスマンは真似しない方が得策だ。上司は訊ねてくるだろう。

「誰のせいでこんなことになったと思うか」
「二度と今回のようなことはしないと誓えるか」

客観的にみて、反省だけを求める、ほとんど意味のない質問である。ここで勇敢に、じつは自分のミスではないとか、仕事のやり方そのものに問題があるとギンギンに目を見て主張してもまともに聞いてはくれない。

目を見ての直訴が功を奏するのはトラブルが解決した直後のホッとしたひとときであって、上司はすでに終わった件を蒸し返すことを良しとしない。せっかく穏便に済ませようとしているのにその攻撃的な目つきは何だ、オレには事態が見えていないとでも言いたいのか。説教タイムが長くなるだけである。

言葉にはしなくても、自分のせいではないと思っているなら決して目など見ないことだ。わざわざ時間を割いて説教するのは、いかに自分が会社や部下のことを考えているかをアピールしたいがためだし、それが一般的な上司の処世術でもある。

対応策としては、目というより顔全体をぼんやり眺めるくらいが素直に見えて都合がいい。気にしているのは反抗的な態度かどうかだけなので、受け答えは意見を求められるまで「すみませんでした」一本槍がベストな選択。

もちろん、すべての上司がそうではなく、部下を育てるため、あえて説教するタイプもいる。見極めのコツは、ここでも目。こっちを凝視し、熱く語りかけてくる相手は、自分は絶対正しいと過信しがちな要注意上司だ。

きつい時代を生き抜くビジネスマンならば、“目を見て話せ信仰”に惑わされることなく、目を見て話してくる相手の本音を見抜く眼力を一日も早く身につけておこう。

▼今回の「教訓」
――ビジネスマン 説教されたら 目を見るな
【解説】仕事でのしくじり。ポカやミスで上司に怒られたとき、どんな表情・目つきをするのが得策なのか。相手の出方や心理を読みつつ、平身低頭を貫くことが重要。目を見て話せと言われ、その通りにしたら、かえって「なんだ、その反抗的な目は!」と火に油の悲劇を招くこともあるのだから。
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