プレゼン技術など、スキルアップをしたいビジネスマンは多いのですが、「実力をつける」と同じように「今ある実力を100%発揮すること」の大切さと難しさに気がついている人は、残念ながら少ない。ご存じのように一流のアスリートは、コンディションの調整を怠りません。

スポーツトレーニングは、筋力アップや技術向上を図る「ストレングス」。疲労を取り、故障を治す「ケア」、そして持っている力を発揮するための「コンディショニング」。この3つのアプローチで成り立っています。

練習したことをいかに本番に結びつけるか。これはビジネスの世界でも同じです。100の実力を120に増やしても、70しか発揮できなければ、力がついたとはいえません。調子をあげ、実力を出し切る。コンディショニングのポイントになるのが自律神経です。

自律神経は体を活動させるときに優位になる交感神経と、逆にゆったりしているときに優位になる副交感神経からなります。この2つがバランスよく働くことで健康を維持しているのですが、健康だけではなく、自律神経が整っていてこそ、持っている力を発揮できるのです。アスリートは「ゾーン」という表現をしますが、これは本来、逆の働きをする交感神経・副交感神経がともに高まっている状態で、集中しているにもかかわらず、落ち着いて周りも見えている極限の境地です。

現代人は交感神経が活性化しっぱなしで、副交感神経が高まらない、常にテンパった状態にある人が多い。原因を一言でいえば、ストレス社会だからです。

自律神経を整えようと思っても、頭でコントロールはできません。自律神経へのアプローチ方法は体を動かす運動・行動です。自律神経が乱れない行動を心がけ、必要なときに交感神経や副交感神経を活性化させる方法をご紹介しましょう。

まず窮屈な服装は交感神経の働きを上げます。疲れが取れないときは、通勤時にはネクタイをせず、シャツの一番上のボタンも外して、ネクタイは会社で締めましょう。

シャツといえば、私は「基本的にシャツは白しか着ない」と決めています。服選びの時間が短くて済むということもありますが、ささやかなことでも、なにかを選択する行為はストレスを生みます。「考えるべき重要な問題」と、「考えることなくオートマチックに行動すること」を区別し、さほど重要でないことは徹底的にルール化し、オートマチックに処理する。余計なストレスを招かないというのは、自律神経を乱さないためにとても重要なことです。

これからの季節、外は猛暑、室内は冷房と温度差が激しくなりますが、これも自律神経を乱す要因です。涼しくても、気持ちいいこと=自律神経にいいことではありません。薄手のセーターを着るなどして、温度変化に対応しましょう。