「まちづくり」とは何か

あいかわらず、全国各地で「まちづくり」が叫ばれていますね。でも、「まちづくりって、何?」と聞かれて、それを具体的に答えることができる人は、けっこう少ないと思います。

ある研究者グループの著書によると、「まちづくり」というのは「都市計画」から発展・変遷してきた言葉だそうです。交通機関や公共施設などの“ハード”をつくり、都市機能としての画一的なインフラを計画的に整備してきた時代から、その環境の中で、市民が地域社会の日々の生活をいかに楽しくて充実したなものにしていくかという“ソフト”が大切な時代に変わってきた、ということのようです。

そこで議論される地域社会とは、漢字の「街」でも「町」でもなく、市民がなんとなく生活している共有空間としての「まち」であり、それを地域ごとにいろいろな方法や考え方で「つくる(創る・造る・作る)」ものであるということから、「まちづくり」は平仮名で定着したのだそうです。つまり「まちづくり」には、従来の都市計画のように正解やパターンはなく、まちやひとの数だけ無数に存在するというわけです。

つまりそこでは、役人主導の「計画」や仕組みよりも、それぞれのまちに暮らす市民の多様な「感覚」が大切になってきます。すると、「まち」というぼんやりしたものを全体的にとらえるのではなく、そこで暮らす「ひと」1人ひとりの存在に注目しなければなりません。いや、「注目」というよりも、具体的に人間同士の関わりを持つということが大切なのでしょう。「まちづくりは現場でおきている!」みたいな。

では、「まちづくりの現場」とは、一体どのようなものなのでしょうか?