アップルも設備投資増やし垂直統合型へ

経営再建中のシャープが、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ることが決まった。かつて世界を席巻した日本の大手電機メーカーが、外国資本の傘下に入る初めてのケースである。

シャープが経営危機に陥った原因については、「垂直統合型というビジネスモデルへのこだわり」と、それにともなう「液晶パネル生産設備、とりわけ堺工場への過剰投資」がよく指摘されるが、本当だろうか。

筆者は、そのような見方が的を射ているとは思わない。以下で検証していこう。

基幹部品(液晶パネル)の製造から最終商品(液晶テレビ)の組み立てまで、一貫して自社で行う垂直統合モデル。事業環境の変化が激しい時代にあっては、米アップルやファブレス半導体メーカーにみられるように、必要に応じて外部に生産委託する水平分業を戦略的に採り入れて、設備投資負担を軽減すべきだった――というのが、垂直統合モデルに対する典型的な批判である。

シャープ(写真左)の垂直統合型ビジネスモデルを罪悪視するのは危険だ。アップル(同右)もファブレスからシフトチェンジ。

しかし、垂直統合モデルはシャープが苦境に陥った根本原因ではないと筆者は考える。このビジネスモデルは、確かに投資負担は大きいものの、より多くの付加価値を取り込み、技術ノウハウのブラックボックス化を図るための定石戦略だからだ。

実際、液晶テレビの世界最大手のサムスン電子と同2位のLGエレクトロニクスの韓国2社は、垂直統合モデルを採っており、過当競争から収益性は低下傾向だが、液晶パネルでも世界1、2位を争っている。

対照的に、生産設備を保有しないファブレスモデルの代表格とみられてきたアップルですら、2010年度以降、デバイスメーカーや製造委託先など有力な供給ソース側での設備投資資金を負担し、優れた基幹部品(キーデバイス)や精密加工技術をいち早く大量に確保する戦略に転換した。設備投資は年1兆円超に達し、もはやファブレスとはいえない。