世界にも通じる「日本人らしさ」とは何か

私は日本ロシュのあと、フランスの製薬会社ローヌ・プーランローラーとアメリカのシェリング・プラウの日本法人の社長を務め、現在はドイツに本社があるベーリンガーインゲルハイムの日本法人社長とエスエス製薬などグループ会社4社の会長を兼任しています。

4つの外資系企業を経験してきた経歴から、バリバリの「外資系人間」という印象をもたれるかもしれませんが、私自身は大和魂を大切にする考え方をもった根っからの日本人だと自負しています。謙虚さ、質素さ、実直さ、勤勉さ、和を尊び人を大切にする気持ち。そうした「日本人らしさ」と呼ばれるような価値観を大切に考えています。

そして40年以上グローバルな環境で働いてきた経験を振り返ってみると、こんな実感が湧くようになりました。

こうした「日本人らしさ」こそが、グローバル競争を生き抜く鍵である、と。

いまの自分があるのは、謙虚であること、そして人を大切にすることを、常に心がけてきたからこそだと感じます。それは「日本人の美徳」とも呼べるような価値観だと思います。

「外資系企業」や「グローバルな環境」では、自己主張のできる強い者が有利になる。世の中ではそう思う人が増えているかもしれません。日本社会もその風潮に飲まれつつあり、日本人は自信を失っているように見えます。背景には、謙虚さや実直さといった日本人の美徳は、海外では通用しないという誤解があるようです。

「これがグローバルで通用するやり方だから」といって、日本人のもつ美徳を捨ててしまっては取り返しのつかないことになります。むしろ競争環境がグローバル化しているからこそ、日本人は、日本人のもつ美徳の素晴らしさを見直すべきなのです。

※本記事は書籍『いばる上司はいずれ終わる』からの抜粋です。

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