経営者の経営者たるゆえんは、「経営する」ことにつきる。目標(売り上げ・利益等)とそれを達成する期間を設定し、確実に達成する。経営とはそういうものだ。その良き指針を示した傑物の1人に、ハロルド・ジェニーン(1910~97年)がいる。彼はITTの社長兼最高経営責任者に就任、全米最大かつ最高収益の80カ国350社に及ぶ多国籍コングロマリットを築き、売り上げを22倍に収益を19倍にした伝説の人物。彼の著書『プロフェッショナルマネジャー』には具体的な経営手法が詳細に記されている。

玉塚元一(たまつか・げんいち)
ローソン社長。1962年生まれ。85年、慶應義塾大学卒業。2002年、ファーストリテイリング社長兼COO。05年、リヴァンプ設立。14年、ローソン社長。

今回解説者となった玉塚元一氏は『プロフェッショナルマネジャー』をファーストリテイリングの柳井正氏から手渡された。以来、座右の書になっているという。ジェニーン式経営の神髄を読み解き、そのノウハウを実際の経営に活かすためにはどうすればいいのか。経営の肝になるのは、現場の状況を的確に把握して、人的資源を有効に活用できる、チームとしての経営基盤をつくりあげることだ。絶えず改善を繰り返し、問題が起きる前に策を講じる。

「商売・経営はお客様のためにある。全社員が一緒になってこそ強くていい会社になることができる」し、「実際に見聞きして、確認した意見こそ重要で、空想や机上の空論には耳を貸さないような企業カルチャーが求められる」。

つまり、全社一丸となって対応する組織力と、現場を歩いて生きた情報を得る姿勢こそが、企業として重要であり、お客様もそれを求めていると玉塚氏は言う。

また、「変化を迫られる状況」について、解説者は「知恵を絞る絶好の機会であり、全力投球できるチャンス」だと言い、「トップダウンだけでは組織は強くなれない。チーム力を発揮できてこそ高い壁も乗り越えられる」と、やはりチーム力・組織力の必要性を強調する。これは慶應義塾大学におけるラグビーの経験によって培われたものだろう。その行動力・実践力はこれまで積み重ねてきた経営経験に裏打ちされている。

「戦略はあるし実行する武器もある。大切なのは実行するスピードであり、より精度を高めることである」

これまでの組織づくりへの自信と、これからの経営に不可欠な要素をズバリ言い切っている。つまりスピード感とニーズにフィットする精度の向上こそが重要なのだと。

※本稿は、解説者へのインタビューです。