2016年3月18日(金)

出世・残業・転職……仕事の報酬にどこまでこだわるか

一流vs三流診断!お金の思考習慣

PRESIDENT 2014年7月14日号

著者
勝見 明 かつみ・あきら

1952年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退後、フリージャーナリストとして、経済・経営分野を中心に執筆を続ける。著書に『鈴木敏文の統計心理学』『選ばれる営業、捨てられる営業』ほか多数。最新刊に『全員経営』(野中郁次郎氏との共著)。

執筆記事一覧

ジャーナリスト 勝見 明=文
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わが家の家計に稲盛和夫なら何とアドバイスするだろうか――。経営者の勉強会「盛和塾」で直々に哲学を学んでいる2人のファイナンシャル・プランナーに徹底取材した。

Q. 会社のビッグプロジェクトの責任者に抜擢された矢先に、破格の高報酬の転職話が舞い込んだ。転職するか、断るか。

【ヒント】もし転職すれば、高報酬が目的だったことになる。それは、生き方の目標が高収入の獲得にあることを意味する。さらに高収入の転職先を求め続け、際限がない。
これに対し、所得が右肩上がりで増える高度成長がもはや期待できなくなった日本で、稲盛氏が価値観のパラダイム転換を求めて打ち出したのが、「足るを知る」という考え方だ。どうすれば自分たちは幸せに生きることができるか。「足るを知る」を基準に置けば、答えは「断る」。その理由を解き明かそう。

FP 佐々木昭人氏・伊藤正孝氏の回答

A. 稲盛氏が提唱する「足るを知る」は、仏陀が唱えた「小欲知足」に由来する。地球の資源に限界がある以上、際限なく物質的な豊かさを求めることはできない。ならば、良識を持ち、欲望を自らコントロールし、破滅の一歩手前で踏みとどまり、調和のとれた繁栄を維持しなければならない。その中で、誰もが幸せに暮らしていくには、「足るを知る」べきであると警鐘を鳴らした。これを個人の生活にあてはめるとどうなるか。伊藤正孝氏が話す。

「“足るを知る”とは、“自分より上の人と比べるな”ということです。収入も上と比べればきりがない。大切なのは、自分にとって何が幸せかであり、お金だけを基準にして働かない。

そのとき、心の報酬になるのは仕事のやりがいです。やりがいを持って仕事に全身全霊を込めれば、それは成果を生み出し、収入としても返ってくる。例えば、稲盛塾長が創業した京セラは、他社と比べて給与水準は高くはないそうです。私が社員の方に“それでいいんですか”と聞いたら、答えはこうです。“私たちがより多くを求めたら、会社の経費が上がり、利益が出なくなりますから”。自分たちも経営に参加していることにやりがいを感じる意識が浸透しているのです」

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