上と比べるという相対価値ではなく、何が「幸せ」なのかの絶対価値を大切にし、仕事のやりがいを求める。では、どうすれば、やりがいを実感できるのか。その答えも「足るを知る」の中に含まれていると佐々木昭人氏はいう。

「“足るを知る”とは現状に満足し、何ら新しい試みもしないといった、老熟したような生き方ではありません。稲盛哲学では“宇宙の意思と調和する”と説き、宇宙が成長するように、人間も成長を続けなければならないと考える。“足るを知る”は他と比べ、あれが足りないからできないと言い訳をするのではなく、現状を受け入れ、今あるものを生かして発展を目指す意味も含まれています。目の前の仕事に、自分たちが持ちうる全力を尽くす。そこにやりがいが生まれる。報酬とは目的ではなく結果で、努力は報われ、自分に返ってきます」

稲盛氏がJAL(日本航空)再建に乗りだした当初、社内には、人・モノ・金・情報・時間が「ない」ことを「5つのできない理由」にしていた。「足るを知る」を学んだ社員たちは、給料が下がっても、自分たちが再建に参加していることに「幸せ」を感じ、全力を投入。再建を実現した。相対価値から絶対価値への転換の成果だった。

 【稲盛哲学】足るを知る⇒お金を基準に働いてはならない
佐々木昭人
ファイナンシャル・プランナー。ロムルス代表取締役。
1972年生まれ。生命保険の営業を経て、2007年より現在の事務所を立ち上げ、生命保険のコンサルティングを行う。09年より盛和塾新潟に参加している。
 
伊藤正孝
税理士、ファイナンシャル・プランナー。
1960年生まれ。プライス・ウォーターハウス・クーパースを経て、2004年に伊藤正孝税理士事務所を立ち上げる。稲盛氏の勉強会「盛和塾」では盛和塾横浜の元会計担当事務局を務めた。