2016年2月29日(月)

たった1%の経費で、数十億の宣伝効果! お金をかけずに話題をさらう近畿大学の自虐テクニック

達人に学ぶ「伝わる技術」 第68回

PRESIDENT Online スペシャル

著者
上野 陽子 うえの・ようこ
コミュニケーション・アナリスト

上野 陽子カナダ・オーストラリア留学後、ボストン大学コミュニケーション学部修士課程でジャーナリズム専攻、東北大学博士前期課程で人間社会情報科学専攻修了。通信社の国際金融情報部、出版社、海外通販会社役員などを経て現在に至る。著書に『スティーブ・ジョブズに学ぶ 英語プレゼン』(日経BP社)、『名作映画いいとこだけの英会話』(ダイヤモンド社)、『コトバのギフト~輝く女性の100名言』(講談社)、『1週間で英語がどんどん話せるようになる26のルール』(アスコム)、『Primeシリーズ1・ビジネス英語新人研修―女子のフレーズー』(ジャパンタイムズ)ほか多数。

執筆記事一覧

上野陽子=文
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59億円に勝つ、収入1%の仕掛け

「人は慣れ親しんだものを“真実”だという」

かつてナチスの広告担当だったゲッペルスはこう話した。今では心理学の実験で「誰もが自分が慣れ親しんだものに好意を抱き、肯定する傾向がある」という研究結果もみられる。私たちは、耳にしたことがない企業の製品は不安を抱くこともあるものの、何度も目にするうちに自然と信頼するようになる。だからこそ、企業はこぞって宣伝広告を打ち、製品を知ってもらうばかりでなく、企業名を広めていく。

ところが、広告を打つには莫大な経費がかかってしまう。たとえば東証一部上場企業の4分の1の売上高平均は、およそ2500億円。そのうち広告宣伝費は売上高の約3.5%、つまり59億円ほどになる。化粧品会社などは売上高の10%を割くという。すべてはブランドイメージを維持するために必要な経費だ。とはいえ、たとえ大企業でもそんな経費を割けない場合があり、規模が小さくなるほどにそれは難しくなるだろう。

近畿大学国際学部 広告

近畿大学広報部長の世耕石弘さんは「身の丈にあった広報活動をしなければいけないんです」と話す。近大の広告費は帰属収入の1%にも満たないため、いかに経費を使わずに広く認知してもらうかを考えるという。そんなケタ違いの費用対効果を挙げる手法を、連載の前回、前々回にわたってお伝えしてきた。

そして、近畿大学は“kinki”の英語名称に頭を抱えていたこともお伝えしている。発音が似ているkinkyが英語で「変態」を意味するために、世界各国の学会で失笑を買うことがあるからだ。

一見すると相関関係がなさそうな広告と大学名の変更。ところが、ここにまた宣伝価値を見出すのが近畿大学だ。広告展開のコンセプトは、大まじめながら一見ふざけて見える、こんなものだった。

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