2016年2月15日(月)

わずかな経費で30億の宣伝効果! 東大・早大にできず近畿大学が可能な理由

達人に学ぶ「伝わる技術」 第67回

PRESIDENT Online スペシャル

著者
上野 陽子 うえの・ようこ
コミュニケーション・アナリスト

上野 陽子カナダ・オーストラリア留学後、ボストン大学コミュニケーション学部修士課程でジャーナリズム専攻、東北大学博士前期課程で人間社会情報科学専攻修了。通信社の国際金融情報部、出版社、海外通販会社役員などを経て現在に至る。著書に『スティーブ・ジョブズに学ぶ 英語プレゼン』(日経BP社)、『名作映画いいとこだけの英会話』(ダイヤモンド社)、『コトバのギフト~輝く女性の100名言』(講談社)、『1週間で英語がどんどん話せるようになる26のルール』(アスコム)、『Primeシリーズ1・ビジネス英語新人研修―女子のフレーズー』(ジャパンタイムズ)ほか多数。

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上野陽子=文
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“大学が呼んではいけない人”で100万アクセス

「東大以外に行く意味はない。でも近大はあってもいいかもしれない」

そう話したのは、元ライブドア社長の堀江貴史氏、通称ホリエモン。近畿大学の躍進ぶりをまとめた書籍の帯に寄せた言葉だ。東証1部上場のときにTシャツにジーンズ姿で現れたその人が、近畿大学の卒業式で祝辞を述べた。「大学なんかいらない」と豪語する人物であり、本来は大学が呼んではいけない人かもしれない。だが、そんな古い意識には縛られないのが近畿大学だ。

社会に巣立つ人間に必要なのは、キラキラ美化された未来に羽ばたこう! と夢を見る以上に、社会の荒波で生き残るためのノウハウや後押しの言葉である。スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業祝辞「ハングリーであれ、愚かであれ」は、歴史に残る名スピーチとなっている。ジョブズも大学には行ったものの、卒業しなかったことは有名だ。堀江さんは「未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ」と語った。心に残るのは、むしろ破天荒でも社会にインパクトを与えた人の言葉なのかもしれない。

近畿大学広報部長の世耕さんたちは「15分のスピーチをお願いしました」という。その読みは見事にあたり、堀江さんのスピーチはYoutubeで再生回数100万を超えている。もちろん、その言葉は多数のメディアにとりあげられ、大学を否定する人間を卒業式に呼んだことも話題になった。

近畿大学 平成27年度入学式 特設サイト

ポイントは「15分以内に」という注文にある。長すぎてはいい言葉が薄まってしまうということだけではない。祝辞をネットに生配信し、Youtubeにもアップし、その後はSNSで広がっていく……。だから絶対に“長すぎてはいけない”のだ。ここまでの計算が、より広く世の中に広げて宣伝効果を得るために大切になる。何かを仕掛けるときには「先の展開」まで考えるべきことが、あらためて感じられる例だろう。

さらに、モーニング娘。などのプロデュースでおなじみの、つんく♂さんには、近畿大学のOBとして入学式をプロデュースしてもらい、サプライズ登場で祝辞を述べてもらうことになる。前回、大阪梅田や東京銀座に店を出したときの広告費用換算は4億円ほどだったとお伝えした。今回はさらに予想を上回る、こんな金額がはじきだされることになる――。

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