融資・資産運用までもフィンテックの快進撃

ここまでは既存の銀行サービスを大きく侵食するものではないかもしれない。しかし、銀行業務の柱となる融資の分野にまで、フィンテックは進出を始めている。「ソーシャルレンディング」と呼ばれる、投資家と借り手を結ぶサービスは、その最たるものだ。サービス提供者は、独自の基準により借り手を格付けし、投資家たちはそれをもとに自分が貸し付ける相手を探す。貸し倒れの危険性が低ければ金利も低くなり、危険性が高いと、それだけ見返りも多くなる。

旧来の銀行のように実店舗や銀行員は必要ないので経費は圧縮され、金利は低く抑えられる。さらには、従来なら銀行の融資の対象とならなかった中小企業や個人も、サービスに登録しさえすれば、投資家を見つけるチャンスが生まれる。貸し手にもメリットがある。自動化された審査は短時間で終わるだけでなく、ビッグデータの活用により、これまで以上の正確性が期待される。ソーシャルレンディングの代表格である米国の「レンディングクラブ」は07年に創業され、14年の上場時には時価総額が約1兆円という規模にまで成長した。

脅威にさらされているのは銀行だけではない。手軽な資産運用を可能にする存在として出現したネット証券をも、フィンテックがのみ込むかもしれない。スマホを数回タップするだけで株を取り引きでき、「ロボアドバイザー」と呼ばれる技術により、10問程度の質問に答えるだけで、本人にとって最適と思われるポートフォリオを組み立ててくれる。数年前には考えられなかったようなサービスが次々と生まれている

フィンテック企業と従来の金融サービスとの熾烈な競争は、ヒートアップの一途をたどりそうだ。