ネット販売に対抗できるのか?
小売業の人事・給料の特徴について考えてみましょう。
過去25年近く、国内の小売業全体の販売額は、全く伸びていません。全体のパイが増えない中、各業態や各企業で、顧客の奪い合いをしてきた四半世紀だったと言えます。
そんな中、Amazonなどインターネット通販を中心とした無店舗販売の勢いは止まりません。店舗系小売業のコストにおいて大きな割合を占める人件費は、無店舗販売では商品説明や販売業務が不要となるため、大幅に軽減できます。ネット販売が成長すれば、実店舗にとっては販売額が低下する要因となるのです。
グラフは、企業規模ごとの年齢別・年間賃金(時間外手当含む)の比較です。
この業種の特徴は、企業規模によらず、全般的に給与水準が低いことです。社員数1000人以上の大手企業でも、年収が抑えられています。
大手小売業というと、主要百貨店のほか、イオンやイトーヨーカドーなどの総合スーパー、ヤマダ電機やヨドバシカメラなどの家電量販店などが思い浮かびます。一方、ユニクロやGU(ジーユー)を展開するファーストリテイリングや、紳士服の青山商事などは、商品の企画・製造から販売まで行っていますので、純粋な小売業とはいえません。また、セブンイレブンやローソンといったコンビニエンスストアも、実際に販売しているのはFC加盟店ですので、フランチャイズビジネス業といった方がよいでしょう。
持ち株会社にしている上位企業も多く、単純比較はできませんが、主な上場企業(持ち株会社を除く)を見てみても、平均年収500万円に満たない会社が少なくありません。
これらは、いわゆる正社員だけの年収です。非正規社員の高い業界ですので、パート・アルバイトまで含めた全従業員の平均賃金は、更に低い水準ということになります。