2016年2月1日(月)

市川海老蔵「なぜ見えないリスクに悩むのか」

PRESIDENT 2016年2月1日号

大高志帆=取材・構成 森本真哉=撮影
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日本を代表する歌舞伎役者、市川海老蔵。名門に生まれたプレッシャーや超過密スケジュールに押し潰されることなくなぜ彼は果敢な挑戦を続けることができるのか。

即断即決! 歌舞伎もビジネスも迷いと甘えは厳禁

私は、舞台上の1秒に執念を燃やして生きています。そうすることで、舞台外での1秒1秒もとても大切に思えてきます。待つのは大嫌いだし、歩くのも速い。「こう」と決めたら、何でもすぐ行動に移さないと気が済まない。

たとえば先日宮崎へ行ったとき、夕方にポンと時間が空いて、目の前にゴルフ場があった。「やりたい」と思ったので、まわりが「もう暗くなりはじめている」とか「営業終了時間直前だ」とか言っているのを無視して、コースに出ました。たしかにすぐに暗くなって球は見えなくなったけど、短い時間でもプレーできて楽しかった。つまり、常識にとらわれていたら、短い人生でまともな成果は得られないのです。そして、どんなことであれ、見えないリスクについて悩むのはまったくの無意味。悩むぐらいだったらまずはやってみようよ、と思っています。

私は以前から、歌舞伎も含めた日本の伝統芸能を世界に広めたいという思いがあり、パリやロンドン、シンガポールなどで公演を続けてきました。海外の人に“本物”に触れてもらうことが重要なので、登場人物が英語で話すようなことはしません。あくまで、日本でやっている古典歌舞伎をそのまま演じるのです。ただし、比較的動きが多く、視覚的に理解しやすい演目を選んで上演しています。今月には歌舞伎や能で構成される「GRAND JAPAN THEATER」のフジャイラ(UAEに属する首長国の1つ)公演を控えています。あちらの王子から「日本の文化を紹介してほしい」という文化交流の提案があったのです。もちろん、答えは、すぐに「やる」でした。本格的な歌舞伎の公演は、アラブ世界で初めてのこと。不安材料は山ほどありますが、即決することに迷いはありませんでした。

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