2016年2月22日(月)

「メキシコの通信王」カルロス・スリムの逆張り投資術

彼らが大金持ちになるには「理由」があった【2】

PRESIDENT Online スペシャル /PRESIDENT BOOKS

著者
城島 明彦 じょうしま・あきひこ
作家・ジャーナリスト

1946年三重県生まれ。早稲田大学政経学部卒。東宝(映画助監督)を経て転職したソニー勤務時代(宣伝部門・広報部門)に書いた短編小説「けさらんぱさらん」で文藝春秋の「オール讀物新人賞」(第62回)受賞。“ソニー初の文芸賞受賞者”となり、著述業に転身。著書に『吉田松陰「留魂録」』『広報がダメだから社長が謝罪会見をする!』『ソニーを踏み台にした男たち』『恐怖がたり42夜』など、小説・ノンフィクションの著者多数。近著に現代語訳『養生訓』がある。

執筆記事一覧

作家 城島明彦=文 佐久間奏=イラストレーション
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2015年の「世界長者番付」の「トップ10」の顔ぶれは、前年とほぼ同じだった。特に「トップ3」は、「ITの王者」マイクロソフトのビル・ゲイツ、「メキシコの通信王」テルフォノスのカルロス・スリム、「投資の神様」の異名を取るウォーレン・バフェットが鎬を削っている。

4年連続でビル・ゲイツを下に見た実力者

ビル・ゲイツがトップでなかった年が5回(2位4回、3位1回)ある。1995年から2015年までの21年間だが、その間、ビル・ゲイツを抜いてトップの座に立った大富豪は、たった2人しかいない。“投資の神様”ウォーレン・バフェットと“メキシコの通信王”カルロス・スリムだ。

佐久間奏=イラストレーション

ビル・ゲイツが3位に沈んだ2008年に1位に躍り出たのがウォーレン・バフェットで、2位がカルロス・スリムだったが、2010年から2013年までは、カルロス・スリムがビル・ゲイツを抑えて堂々の4年連続トップだったのである。

ビル・ゲイツは、2014年に5年ぶりにトップに返り咲いたが、資産額で見ると、ビル・ゲイツ760億ドルに対し、カルロス・スリム720億ドルで、その差は40億ドルしかなかった。

カルロス・スリムの資産がメキシコのGDPの7%を占めたというので大騒ぎになったのは、2012年のことだった。その年のカルロスの資産は690億ドル。翌年が730億ドル、翌々年は720億ドル。そして2015年にビル・ゲイツにトップを奪回されたものの、前年より51億ドル増の771億ドルである。

カルロス・スリムの両親は、“日産の中興の祖”カルロス・ゴーンの家系と同じく、レバノンからの移民である。カルロスの父は、メキシコで事業に成功して多くの不動産を取得し、裕福になった。カルロスは、その父に子どもの時分から、次のような「銭儲け哲学」を教え込まれた。

「投資の鉄則は、いい物件やいい株式が安くなったときに買うことだ。そうすれば、必ず儲かる」

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