2015年12月16日(水)

破壊力をもって伝統的金融機関を浸食するFinTechの衝撃

ガラパゴス化しかねないニッポン金融への警鐘 第1回

PRESIDENT Online スペシャル

著者
渡邊 竜士 わたなべ・りゅうし
トムソン・ロイター・マーケッツ執行役員

1972年、東京都生まれ、米国育ち。96年慶應義塾大学総合政策学部卒、同年野村證券入社。99年スイス野村バンク、2006年野村證券グローバルヘッジファンドセールスなど、主に国際部門にて経験を重ねる。12年野村インターナショナル(香港)のマネージング・ダイレクターを経て、14年よりトムソン・ロイター・マーケッツに入社して現職。トムソン・ロイターの経営企画や営業戦略等を担当している。
→トムソン・ロイター・ジャパン ViewPoint http://viewpoint.thomsonreutersjapan.jp/

渡邊竜士=文
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国際的金融潮流に目を向けない日本

2015年新語・流行語大賞が先日発表されたが、景気を示唆するのは「爆買い」や「1億総活躍社会」くらいで、アベノミクスによる経済活性化、自由競争社会へ突入や、加速する家計金融資産の二極分化への関心は薄いようだ。足元の経済的な変化に気を配らないと、「まいにち、修造!」と浮かれているうちに本当に「安心して下さい、穿いてますよ」と下着1枚の貧しさへと突入してしまう気がする。

本題から少し脱線するが、日本で最も裕福な50名の合計資産総額は2014年度には約17兆円、ここ数年毎年1割前後増えている。一方、日銀によると金融資産(不動産は除く)ゼロの世帯がここ数年で急増、直近の調査では2名以上世帯の30.9%、単身世帯の47.6%になっている。(図参照)

図を拡大
金融資産非保有世帯の比率

成果主義と軍隊を掛け合わせたモーレツ会社で育ち、現在、実力評価主義の外資系企業で日々を過ごす私にとって、競争原則と自己責任の浸透は大歓迎。ただ、世の中には「1億総中流社会」思想がまだ多く、これからの変化に心の準備を促したい。

アベノミクスは「1億総活躍社会」を目標としているが、これを1970年代の「1億総中流社会」、まして「1億総上流社会」と勘違いしないでほしい。年齢・性別に関係無く(お年寄りも、女性も)労働力を提供してもらう(=活躍)ための基盤整備を意味しているのであり、その成果の配分(報酬)については実績評価に応じた二極分化が加速するのだろう。

政府とメディアが主導で日本を称賛する企画が年々増えている。プロフェッショナル(職人)、海外で生活する日本人妻、輸出される日本のサブカルチャー等々。自画自賛も時には良いが、自分で口にした時点でクールでもないし、程々にしないと本当に悪い意味でスゴ~イデスネ! な国になりかねない。

随分と脱線したが、前述の通り経済が自由競争化し、資産の二極分化が進む中で、本稿のテーマである「日本金融市場、ガラパゴス化(の危機)」は深刻な問題を引き起こす。経済と金融は生活の両輪にあり、歪んだ変化は多くの生活崩壊に繋がってしまう。このコラム「警鐘」(第1シーズン)では、日本の金融がいかにガラパゴス化の危機にあるかを、ここ数年大きく海外の金融を改革した「FinTech」、つまりFinancial(金融)×Technology(IT技術)という切り口から説明したい。

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