移民・難民受け入れの可能性

――少し話が変わりますが、最近シリア難民やリビア難民の問題が世界的に注目されており、日本では受け入れなくていいのかと考える人も出てきました。地方の人口を増やし、人口減少を食い止めるという目的で、移民や難民を受け入れることは難しいのでしょうか。

そうですね。人口を増やすという目的のためには、移民や事実婚という選択肢もあります。移民……というより、異文化ですね。長い目で見たときに、日本にはもっとたくさん外国人を入れて文化を多様化させていく必要がある。個人的にはそう考えています。現在も技能研修などで少しずつ外国人を受け入れていますが、単に外国人をこき使うための制度となっていることも多いです。あれだと、みんな反日になって帰って行ってしまう。技能研修よりももっと枠を広げて、外国人をたくさん受け入れて気持ちよく働いてもらう、そういう制度を整備する必要はあるでしょう。ただ、中国、フィリピン、マレーシアといった、移民を出す可能性がある国の事情から考えると、日本に魅力を感じなくて、日本に来たがる人はあまりいないのではないかと考えています。となると、移民という枠だと難しいでしょう。

難民の問題は、シリアやリビアの人たちがいまの国にいるよりはもちろん日本に来たほうがいいと思いますが、いかんせん遠いのと、文化が違う、(ヨーロッパに比べ)頼る人や仲間がいないという理由で難しいのでしょうね。ただ、アジアにも難民はいるわけです。ミャンマー難民はすでに日本に来ていますが、日本は移民や難民に対する壁が非常に高くてほとんど受け入れていません。しかし日本の文化を多様化させるためにも、こうしたアジアの難民は今後受け入れていかなければいけないのではないでしょうか。

Iターン、Uターンする若者が起爆剤になる

――「地方から東京に出てきたが、出身地に戻るかどうか迷っている」「東京出身だが、地方で自分が役に立つなら暮らしてみたい」という若い人は少なくないと思います。いまは東京にいるが、地方へ行ってみたい、迷っているという人に対して、何かメッセージをお願いします。

地方では、若い現役世代が主体的に活躍できる場が広がっています。東京で身につけたITリテラシーやビジネス経験を生かして、Iターン、Uターン組としてぜひとも起爆剤になってほしいですね。地方では高齢化が進んで人手不足なうえ、停滞を打ち破ってくれる、若い人ならではの新しい視点を求めています。

もちろん、地元に溶け込む努力は必要ですし、東京で働いている頃に比べて、収入が下がるかもしれません。けれども、東京ほど家賃は高くないし、地元の美味しい旬の食べものが安く手に入るため、生活費もそれほどかからない。子どもも東京より育てやすいです。満員電車での通勤によって、時間を奪われたり疲弊することもありません。地方のほうが、より人間らしい生活が送れます。また、自分の仕事が地元コミュニティに貢献しているという手応えを直に感じられるのも、地方創生ビジネスならではの醍醐味。ですから、やる気のある若い現役世代の方には、是非とも地方での仕事に挑戦してみてほしいですね。

『地方創生ビジネスの教科書』増田寛也(文藝春秋) 「新書大賞2015」1位に輝く『地方消滅』著者にして、「日本創成会議」座長を務める地方問題の第一人者、増田寛也氏による究極の“解決篇”。日本各地に眠る宝の資源を発掘し、磨き、売り込み、稼ぐには? 地方に魅力的な仕事を生むことで、人が集まり、街がつくられ、次世代へもつながる。本書では、「地方創生ビジネス」10の事例を紹介。鍵を握るI&Uターン、地方ならではのIT活用、人づくり・場づくり、補助金からの自立、日本一の売り場へ並べる方法、農協との共存作法、小ささを逆手に取る方法など「成功の極意」を惜しみなく伝える。