憲法改正をめぐって「立憲主義という言葉を聞いたことがない」と言い、安全保障関連法案をめぐっては「法的安定性は関係ない」と言い切った磯崎陽輔氏。結局は国会で発言を撤回して謝罪したが、問題発言を繰り返す磯崎氏に対して、「更迭すべき」と自民党内で不満が渦巻く。東大法学部から自治省(現・総務省)に進んだエリート官僚出身。

内閣総理大臣補佐官 礒崎陽輔(AFLO=写真)

初当選は2007年の参議院選挙。当初は目立たなかったが、国家主義的な色彩も強い自民党憲法改正草案の起草で活躍し、頭角を現す。安倍晋三総理のお眼鏡にかなって「お友達」の1人になり、第二次安倍政権で補佐官に起用された。

「安倍さんの欠点は、お友達を切れないこと」とある側近は嘆く。「お友達が安倍さんの本音を代弁しているから切れない」というのが多くの議員の見立てだ。つまり、総理の本音は「憲法よりも総理の決断が優先」ということ。以前、稲田朋美政調会長が東京裁判について「法律的に問題がある」と述べ波紋を広げた。そして、安倍総理も著書の中で「国際法上、事後法によって裁いた裁判は無効だ、とする議論がある」と指摘している。総理が立場上言えない本音を「お友達」が代弁し、右派支持層を引きつける戦略なのだろうか。

磯崎発言が示唆する通り、安倍総理は憲法解釈をあっという間に変えるような独裁的権力を持つ。ある中堅議員はこう分析する。「失言くらいで更迭しないよ。『国民は術中にある』と総理は甘く見ている」。

内閣総理大臣補佐官 礒崎陽輔(いそざき・ようすけ)
1957年生まれ。82年東京大学法学部卒業後、旧自治省に入省。2006年退官。07年参院選に初当選。12年内閣総理大臣補佐官。13年参院選で再選。