2015年9月10日(木)

「俺のフレンチ」が原価率90%でも儲かる理由

意外と知らないオトナの教養「飲食業界」ABC【第2回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
子安 大輔 こやす・だいすけ
カゲン取締役、飲食プロデューサー

子安 大輔1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

執筆記事一覧

子安大輔=文
1
nextpage

飲食店の儲けは2割?

「飲食店って儲かるの?」、これは実によく聞かれる質問です。当たり前ですがあらゆる業界と同じで、「繁盛すれば儲かるし、赤字を垂れ流しているところもある」というのが、この問いに対する正しくもつまらない回答です。ただし、飲食店というのはお客の側の立場ではよく知っていても、その収益構造については意外にわからないようですので、今回はそんな数字について見ていきましょう。

飲食店にとって大きな支出と言えば、「人件費」と「食材費」です。人件費についてはおおよその目安は売上に対して30%程度というのが基本です。つまり、お昼に食べた1000円のハンバーグ定食に支払ったうちの300円は、料理人やホールスタッフのお給料になったということです。

もちろんその基本から外れることも多く、例えば自動販売機で食券を買うような牛丼店やラーメン店では、その比率を抑えるようにしています。あるいはビュッフェ(食べ放題)の業態も、食材にお金をかけざるを得ない分、人件費は低く抑えられています。考えてみれば、ビュッフェというのは、注文を取ったり配膳をしたりする手間が存在しないので、相対的には客席数に対するスタッフ数が少なく、人件費がかからないのです。

食材費の話は後ほど詳しく述べるとしますが、その比率(一般的には「原価率」と呼ぶ)も人件費同様30%がひとつのラインとされています。この他の支出としては、家賃が10%程度、水道光熱費と雑費などその他の経費を合わせたものが10~15%程度かかってきます。つまり、支出の合計は80~85%であることが一般的です。

裏を返せば、飲食店の利益率は15~20%程度のことが多いのです。もちろん、開業して数年の店であれば、キャッシュフロー上では返済が、PL(損益計算)においては減価償却費が乗ってきますから、単純にその分が儲けとは言えませんが、返済や償却を終えればまずまずの収益性と言えるかもしれません。ただし、飲食店の廃業率は極めて高いので、最初の数年をサバイブすること自体のハードルが高いわけではありますが。

次のページ「俺の」原価計算

PickUp