2015年11月5日(木)

おいしさだけでは不十分!? そっと背中を押す「免罪符」の神通力が、「新しい肉」ブームを生み出す!

意外と知らないオトナの教養「飲食業界」ABC【第6回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
子安 大輔 こやす・だいすけ
カゲン取締役、飲食プロデューサー

子安 大輔1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

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子安大輔=文
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求め続けられる「新しい肉」

かつて「ジンギスカン」がブームになったことを、皆さんは覚えているでしょうか? 羊肉を特製の鍋で焼いて食べるジンギスカンは、それまでは北海道の郷土料理のような位置づけでしたが、今からちょうど10年くらい前に全国的な一大ブームとなりました。当時の東京では、焼肉店が業態転換をして次々にジンギスカン専門店に変わったり、あるいはごく普通の居酒屋がメニューの1つとしてジンギスカンを加えたりと、今振り返ってみれば狂騒とも思える奇妙な光景が繰り広げられていました。

ブームの背景には、BSEや鳥インフルエンザなどへの不安から「新しい肉」が求められていたこと、あるいは牛肉に比べれば羊肉は安価なので気軽に「焼肉」が食べられることなどの理由がありました。ただし、大ブレイクの決め手になったのは「健康イメージ」の存在です。羊肉に含まれるカルニチンという成分にはダイエット効果があると言われ、メディアを通じて「肉なのに、食べても太らない」とさかんに喧伝されたのです。これによって、新しいものに敏感な若い女性を中心に一気に羊肉への注目が集まりました。

このブームは瞬間風速がすさまじかった分、その反動も大きく、わずか1、2年あまりでジンギスカンバブルは弾けることとなってしまいました。しかし、飲食業界のトレンドをじっくり見ていくと、その後も似たようなことが繰り返し起こっていることが見えてくるのです。

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