2015年9月24日(木)

アサヒ・キリン・サントリー・サッポロと大手全社参入! ニッチな「クラフトビール」が注目されるワケ

意外と知らないオトナの教養「飲食業界」ABC【第3回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
子安 大輔 こやす・だいすけ
カゲン取締役、飲食プロデューサー

子安 大輔1976年生まれ、神奈川県出身。99年東京大学経済学部を卒業後、博報堂入社。食品や飲料、金融などのマーケティング戦略立案に携わる。2003年に飲食業界に転身し、中村悌二氏と共同でカゲンを設立。飲食店や商業施設のプロデュースやコンサルティングを中心に、食に関する企画業務を広く手がけている。著書に、『「お通し」はなぜ必ず出るのか』『ラー油とハイボール』。株式会社カゲン http://www.kagen.biz/

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子安大輔=文
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地ビールとは違う「クラフト」

「クラフトビールと地ビールって、何か違うの?」

この数年、「クラフトビール」という言葉を目や耳にする機会が増えるのにともない、聞かれることが多い質問です。両者に具体的な定義があるわけではないので、厳密にここが違うと言えるわけではありません。ただし、かつてブームとなった際の地ビールと、最近注目のクラフトビールとでは、その意味するところがかなり違うと考えてよいでしょう。

日本国内において「地ビール」が注目されたのは、1990年代の中盤から後半にかけてのことですが、そのきっかけとなったのは細川護煕内閣による規制緩和政策でした。ビールを醸造するには認可が必要ですが、そのためには「年間最低製造数量」、つまり一年にこれだけはつくりなさいよ、という「ノルマ」が課せられます。そのノルマがそれまでの年間2000キロリットル(kl)から60klへと、一気に30分の1以下に大幅に緩和されたのです。

これによって大手メーカー以外であっても、ビールを製造することが容易になりました。中には理想のビールを追求して参入した企業もありますが、よくも悪くも当時存在感を放ったのは、日本のそれぞれの「地域」でした。各地では「街おこし」の一環として、その土地の食材(例えば、じゃがいもやら大根やら味噌やら)を副原料に使ったビールを製造し、それらの風変わりなビールが世の中に乱立することになりました。よく言えば個性的、悪く言えば奇妙奇天烈なこれらの「ご当地ビール」の多くは、確かな醸造技術もないままにつくられたために品質としても十分ではなく、結局ユーザーの支持を得ることのないまま消えていきます。そしてその後、地ビールは日の目を見ることなく低迷を続けます。

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