「上司が不要な時代」への提言

20代後半になると、新たな壁にぶつかる。柘植氏は営業をすることなく、研修講師の依頼が舞い込むためにはどうすればいいのか、と考え抜いた。その仕掛けをつくらないと、売上は伸び悩み、個人事業のまま、終わっていくと思った。

「いい話をするだけでは、リピートにはなりえません。受講される方に学習効果があったと思ってもらってこそ、リピートになるのです。そこで集合研修のスタイルを維持しつつ、個別研修のようなスタイルを編み出しました。みんなの前に立ち、それぞれの社員の抱え込む課題を聞き出し、解決策を答えていくのです。

学習効果を上げるためには、行動し、変化をしてもらうことが前提になります。そのためには、ご本人にとって嫌なこともあえて言うようにしているのです。怒らせたら、行動や変化にはつながりませんから。気持ちよく、その課題に気がついてもらえるように僕が誘うんです。20代前半の頃に比べると、今、私が話す内容も教材も、全然違います。常に改良を重ねてきました。これは、徹底していると思います」

現在の好景気は、ITとロボットによるものが大きく、人の力ではないと指摘する。会社員のスキルなどが上がり、仕事の生産性が上がっているわけでもないとみる。今後、ITが一段と浸透し、上司が今までの経験・体験だけでフィードバックし、部下を動かすことは難しくなる時代が本格化すると予言する。

「スキルうんぬんで、生産性はもう上がりません。ITに頼ることで、生産性を上げざるを得ないでしょう。そのとき、グーグルなどが今以上に使われます。もう、上司はいらないでしょう。上司よりも、グーグルで調べたほうがはるかに、精度の高い情報を早く得ることができます。少なくとも、上司の数は減っていきますよ。

言い換えると、ネットに出ていないような、独自のノウハウやスキルを身につけるべきなのです。つまりは、変人やオタクにならないとダメなのです。そのほうが、市場価値が上がります。そうでないと、社内でも社外でも、オファーは来ないでしょうね。

いまなお、学歴で昇格などを決めるのは、価格競争に巻き込まれない、古い体質の会社だけじゃないですか。○○大学を卒業すると、▽▽という会社で○○といった仕事をして、××までは昇格できる、という時代は終わっています。中途半端な学歴を身に付けるよりは、変人になるべきですね」