「3K」のイメージを根底から変えていく

四家はスマートコンストラクションの事業化にあたって、500近い現場にICT建機を導入し、課題を集めた。

スマートコンストラクション推進本部 本部長 四家千佳史氏

例えば、道路の建設や河川の堤防工事では、建機の作業が早く終われば工期が短くなるわけではない。土を運搬するダンプや建機を運転するオペレーターの手配、現場での測量や丁張り。現場ではさまざまな作業が複雑に絡み合っているため、1つの工程を効率化させても全体の工期は変わらない。

「ダンプが土を運ばなければ、土地の造成は進みません。すると、ダンプの速度が工事の速度になってしまう」

ある道路工事の施工現場ではICT建機による作業が終わった後、オペレーターが次の工程に進むのを手持ち無沙汰で待っている、という光景も見られた。いくら「ダントツ商品」といえども、それでは宝の持ち腐れというものだ。高いレンタル料に見合ったメリットを、建設会社に示す必要がある。

「つまり我々のICT建機の能力を最大限に発揮させるには、この商品をバラ売りしていてはダメなんだ、と。積極的に現場の施工にも関与し、工事の全体を『見える化』するサービスが必要なのは明らかでした」(四家)

レーザースキャニングやドローンによる測量、土質の解析や施工計画の提案などをパッケージ化するスマートコンストラクションの原型は、大橋と四家の議論の中で形作られていった。

彼らの最終的な目標は、工事現場の「IoT」化――工事現場で動く全ての「モノ」をインターネットに接続し、工事の始まりから終わりまでを一連の流れとして管理することだ。

「いまオペレーターはどこで作業をしていて、土を載せたダンプはどこを走っているか。それらを『見える化』し、リアルタイムに進捗状況が分かるようにする。そして図面から導き出された最も効率のいい手順に従って工事を進める。それができれば、スマートコンストラクションは建設業の産業革命になり得ると思っています」(四家)