幸福度が日本一でも人口減、その対策は?

なんといっても、福井県は県民の幸福度が日本で一番高い県です。犯罪率、救急車の出動率ともに日本一少なく、保育園の待機児童ゼロ、特別養護老人ホーム等への入居待機者もゼロです。昨年は、子どもの幸福度調査でも全国一という結果が出ました。子どもの学力、体力ともにトップクラスであり、学校間格差が少なく子どもの教育にはとてもいい環境です。私の知り合いにも、県外転勤の辞令を受け、家族を福井に残して単身赴任した人が何人かいます。「子どもを福井で育てたいから、お父さん、一人で行ってきて」というわけです。

幸福度ナンバーワンの県でありながら、なぜか人口は減少し続けています。福井県の人口は、1999年の83万人をピークに減り続け、現在は78万人。少子化による自然減はもとより、高校卒業期に発生する県外転出が大きな問題になっています。これについては県とも議論を重ねているところですが、若い人にとって魅力ある職場が少ないことが大きな要因と考えられます。福井の地場産業の中心は繊維産業とめがね産業であり、そのためどうしても労働集約的な単純作業が多くなりがちです。若者に魅力ある仕事、たとえばデザインや企画などクリエイティブな仕事をどう増やしていくのか、我々経済界として取り組んでいかなければならない課題です。

一方で、地場産業の中心である繊維産業とめがね産業はいずれも不況産業であり、これらの立て直しも緊急の課題です。また、高速交通網の整備が他県に比べて遅れており、先ほど申し上げた北陸新幹線の早期福井延伸や高速道路の整備にも喫緊の対策が望まれます。福井県に特有な問題として、原発の再稼働問題も触れないわけにはいきません。

原発に関しては、消費地である関西を含め国民の多くが必ずしも賛成ではありません。このような状況で再稼働しなければならないのか、原発立地県としては疑問に感じるところです。しかし、原発を再稼働しないことで電源供給が途絶えるかもしれない、という痛みを理解したうえで反対の立場を取っている人はどれくらいいるでしょうか。原発を再稼働せず、再生エネルギーを利用すれば、それだけ電気料が上がり、上乗せ分の大半は企業が負担することになります。あるいは再生エネルギーだけですべての電力供給をまかなえるのかという疑問もあります。感情だけで原発に反対するだけでなく、今こそ政府も国民も日本のエネルギー問題についてしっかりと議論すべきだと思います。