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アジアインフラ投資銀行臨時事務局長 金 立群(Jin Liqun)
1949年、浙江省生まれ。北京外語学院英語科卒業後、米ボストン大学で経済学修士号取得。中国人初のアジア開発銀行副総裁も務めた。


 

米国主導の国際金融秩序に一石を投じると注目を集めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の初代総裁に内定されている。AIIBは2013年秋のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で習近平国家主席が設立を提唱した当初、ガバナンスが不透明だと見くびられていたが、今や48カ国・地域が参加表明。日本が主導するアジア開発銀行(ADB)に対抗しうる規模と体裁を整えたのは金氏の手腕。ワシントン在住の世界銀行リタイアメンバーを集めてアドバイザーとし、昨年秋前後から各国へのシャトル外交でキーパーソンを説得、中でも国際金融センター・英国のオズボーン財相を陥落させたことで、欧州勢が雪崩を打って参加を決めた。

中国財政部次官、世界銀行副執行理事、ADB副総裁、中国国際金融有限公司(CICC)会長を歴任した金融エリート。物腰柔らかな洗練された紳士でシェークスピアを引用して流暢な英語を話し、フランス語も操る。傲慢な風上の相手を懐柔するその交渉術に「バーバリアンハンドラー(野蛮人訓練士)」との異名も。

金氏は「AIIBは世銀やADBに取って代わるものではない。国際金融秩序を転覆させるものではない」と主張。だが当然、出資比率の約50%、500億ドルを出資する中国が主導権を握る。その本質は金融を通じた地政学的覇権争い。実利と安全保障がせめぎ合う国際金融の領域で、この老練な交渉家がどれほどの国際投資銀行をつくり上げるのか。日本が協力するにしろ対抗するにしろ、その動向に目が離せない。