良書にふれて人間観を養う

日本生命保険相談役 宇野郁夫氏

私は、若い頃から「本を読む」ことが一番の楽しみで、今でも多くの本を読んでいます。本を読むことが役に立つことかどうかは、ある程度まではわからないものですが、ある一線を越えると急に世界が違って見えるような気がしました。

欧米、特にヨーロッパのビジネスマンに会うと、教養が深く、哲学や歴史をよく学んでいて驚かされますが、人間観や哲学観、歴史観があってこそ、物事を判断し、リーダーシップを発揮できる。

厳しい経済状況の中だから、よけいに前向きな姿勢が重要です。多くの人が良書といわれる文学作品にふれることで、現実に立ち向かう勇気と力を得ることができると思います。

(09年2月2日号 当時・会長 構成=山下 諭)

小宮一慶氏が分析・解説

正確な情報をキャッチするためには、宇野氏のように良書と呼ばれる本を通して教養を磨き、人間の度量を大きくしていくことも重要なポイントになる。役職が上がるほど、自分の耳には心地のいいことばかりが入ってくるようになる。

そうした人の営みの真理とともに、さまざまな戒めを与えてくれる良書の一つが、『論語』や『菜根譚』をはじめとする中国古典である。たとえば、『論語』では日に何度も、自分を省みることの大切さを教えている。

反省すべき点があれば、素直にそれを認めて行いを正す。考え方についても同じ。自分の仮説が間違っていたと気がついたのなら、それを修正する。そうした素直さを涵養する術の一つが古典に触れることと知っているから、多くの経営者が手に取るのだ。

小宮コンサルタンツ代表取締役 小宮一慶 
1957年、大阪府生まれ。京都大学卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現職。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』など著書多数。