──16年度入社以降の採用選考活動は、経団連の方針で広報活動が大学生は卒業年度に入る3年生の3月1日以降、選考活動は4年生の8月1日以降になります。
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就活時期繰り下げの影響大!

【食品】人事担当者が集まる就活シンポジウムに就職活動の動向に詳しい大手の2大人材会社の幹部がきていた。その1人に15年の就活はどうなりますかと聞いたら、その幹部は隣にいたライバル社の幹部に「そちらはどうするの。経団連の会員企業だから、まさかルールを破るわけにはいきませんしね。やはり、インターンシップとリクルーターを活用するの」と逆に聞いたんだ。その幹部も「お宅のほうこそ、会員じゃないからルールを守らなくてもよいわけだ。どうするの」と言っていた。互いに腹の探り合いをしていたが、それだけ16年卒の企業と学生の動向を読み切れていないと思ったね。

【金融】でも間違いないのは選考期間が限られるので、インターンシップとリクルーターを使って囲い込むしかない。うちは14年の夏も含めて秋と15年1月以降に計3回のインターンシップを開催する。そのために迷惑をかける職場を説得し、日当を含めた多大なコストもかかる。それでも優秀な学生を確保できなかったら役員会で責任を追及されることになる。覚悟を決めてやるしかないと思っている。

【建設】リクルーターの養成も大事だ。入社年次の若い社員を指名し、学生を説得するための研修を実施することになるが手間もかかる。リクルーター研修では、仕事は大変だが給与はいいよとか、とくにかわいい女性が多いとか、学生をその気にさせるための訓練を受けさせる。インターンシップで優秀と見なされた学生に対しては「人事に紹介されて」と言って接触する。あるいはゼミや研究室、サークルを訪問し、めぼしい学生にアタックする。リクルーター1人に10人程度の獲得をノルマにしている企業もあり、学生の情報は人事に逐一報告させることになる。

【IT】大手さんはうらやましいよ。有名企業はインターンシップやリクルーターを通じて学生をつなぎとめ、選考の解禁日の8月1日にはほとんど大勢が決まっているんじゃないか。大手の選考が一段落するのに年末までかかり、年明けの決算期ごろにようやく中小企業の採用が決まるか、予定数を確保できない恐れもある。結局、今回の採用選考の後ろ倒しで得をするのは大手企業と一部の有名大学の学生だけだね。だからうちは正直言って経団連の縛りに関係なく、通年採用に切り替え、いい学生がいたら取りにいく作戦に出る。

【建設】インターンシップとリクルーターを使ってもいい学生が採れるとは限らない。たぶんメガバンクや生・損保業界のリクルーターは例年よりも早めに動くだろうし、どんどん引き抜いていくだろうからね。インターンシップも受け入れ枠が限られるので書類選考で選別するが、ほとんどの企業が大学名で選考するのが一般的だ。地方の有名大学の場合は都内の宿泊代プラス交通費・食事代と日当を支給する。これがAコースとすれば、Bコースは宿泊代を支給しないとかランク付けする会社もあるようだ。とくに有名大学の研究開発を専攻している学生はすでにメーカーで取り合いになっているそうだ。秋・冬のインターンシップで内定を出す企業も増えるだろう。