「誰でもいい」そんな人事担当者のボヤキばかりの就職最前線! 加速する人手不足に学生たちの高笑いが聞こえてくる――。

究極の売り手市場焦る企業、笑う学生

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2014年の就活は圧倒的な売り手市場

企業業績の回復、若年労働者人口の減少を背景に、2014年の就職活動は、学生の数に比して企業の募集枠が多く、顕著な売り手市場となった。さらに15年は、経団連による採用活動期間の後ろ倒し方針で大きな混乱を招くとも予想されている。そこでプレジデント誌は、有名企業の人事責任者による覆面座談会を開催し、14年の採用面接のウラ側と15年のリクルート活動への本音を探った。

──実際の採用活動はどうでしたか。

【建設】内定を出しても安心できず、採用に苦労した。30人はほしいと思い、歩留まり(辞退者)を考えて35人に内定を出したが、結果的には内定辞退が6人で29人。会社としては来期は倍増の60人の採用を計画しているが、このままでは大変だろう。

【食品】うちも内定辞退が出た。学生には「君さえよければ内定を出すけど、本当にうちにくる?」と言って念を押す。なかには「別の企業も受けたいのでもう少し待ってください」と言う謙虚な学生も2~3割いる。でも、大学の先輩などから、内定を出すと言われたら「入ります」とウソをつけと指導されている学生も多いから、信用はできない。とくに慶応の学生には騙された経験が多い。企業出身の教授も多いし、企業の動き方や考え方を知っており、こうすれば面接の評価が高くなるというコツとかを教えられているから、なかなかしたたかだよ。

【建設】有名大学の学生ほど就活の動きが早かったね。IT系の会社の人事の友人に聞いたら、13年の12月にインターンシップに参加した学生が60人いたが、有名校の学生の多くがすでに内定をもらっていたそうだ。内定先を聞いても、大手企業ばかりだったという。中堅企業にはマネができないよ。

【金融】最近は学生と企業のマッチングがどんどんマニュアル化してきている。就活サイトなどインターネットの画一化された情報が氾濫し、それに踊らされて、企業に入って何をやりたいのかじっくり考えることはない。採用が終着点みたいになっている。一方、企業も大量のエントリーシートのステレオタイプのデータから旧帝大と早慶、MARCH、関関同立、日東駒専レベルに分類し、体育会系かどうか、性格テストなどを使った属性を入力して、会社に合う学生を選び出すというデータマッチングが進んでいる。それでいて面接では元気がよくて、伸びしろがあるといった相も変わらぬ単純な基準で選別している。