親離れできない子、子離れできない親

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笑う大企業、泣く中小企業

【建設】親離れできていない学生も多い。優秀な女子学生が「受けているもう1社は転勤がないから」と言って内定を辞退したんだ。なぜ転勤できないのと聞くと「親と一緒に住んでいるから」と言う。限られたコミュニティから外に出たくないという若者が多い。

【金融】親依存は学生に限らないよ。20代前半の社員に転勤の辞令を出したら「祖父が病気がちなので」と言ってきた。両親は健在だよね、と聞くとハイと答える。親元から離れたくない家族志向の若者が増えている。嘆かわしい話だよ。

【食品】学生を見ていて優秀な学生ほど親に依存している感じだ。有名大学のキャリアセンターの担当者にその理由を聞いたことがあるが、「どれだけ子どもに投資してきたと思っているんですか。小さいときから塾に通わせて多大な費用をかけて大学まで行かせた。名のある企業に就職してほしいというのは当然ですよ」と言われた。関西の有名大学に呼ばれて企業説明会に出かけたときも、学生の後ろに親がズラリと立っていたのに驚いたが、今ではさほど驚かなくなったね。

【建設】東大工学部の建築学科の院生にうちにくる気はあるの、と聞いたら「御社を気に入っています。ぜひ入りたい」と言う。最終の役員面接でも、役員が「あなたが行くべきなのは鹿島とか大成さんでしょ。なぜうちなの」と皮肉っても「御社が好きです、絶対に入ります」というので内定を出した。その後、役員から彼がうちにくる確率を聞かれて五分五分じゃないですかと答えたが、役員は8割の確率でくるなと言う。ところが蓋を開けたら内定辞退。本人にわけを聞くと、母親にもっといい会社に行きなさいと言われ、それでもうちに行きたいと言ったら、最後には泣かれてしまったと言うんだ(笑)。