仕事の専門分野でなくても、一流のビジネスマンになるために学んでおきたいことがある。
各界の第一人者たちが長く読み継がれる入門書を厳選してくれた。
東京理科大学大学院教授 宮永博史氏●東京大学工学部卒業。日本電信電話公社(現NTT)、日本ルーセント・テクノロジー勤務などを経て、2004年より現職を務める。著書に『「ひらめき」を生む発想術』など。

マーケティングは新しい市場を見出し、顧客を創造するのが使命だ。『イノベーションと企業家精神』のなかでドラッカーがあげている“イノベーションのための7つの機会”にこそ、マーケティングのエッセンスがある。とりわけ「予期せぬ成功と失敗」は重要なチャンス。たとえ予想外の出来事であっても、それは“結果がわかった事実”だ。そのときに得た発見を根拠に戦略を体系化していけば、“結果が不確定な事業計画”よりも高い確率で新規事業につながる。

日本企業は欧米を追う立場から、アジアなどに追われる立場になり、自らの手で新しい事業コンセプトを構築し、市場を開拓していく必要がある。特に独創的なアイデアの必要に迫られ、『アイデアのつくり方』には、市場調査データのようなマーケティングにかかわる“特殊情報”と、ニュースのような社会に広まった“一般情報”の結びつきからアイデアが生まれるとあり、慧眼といえよう。

また、マーケティングに関する実務の手引きは少ない。私自身も困ったことがある。そこで経営コンサルタントとしての体験を踏まえて、旭山動物園やアスクルの成功事例などをベースにしながら、マーケティングの具体的なプロセスをまとめたのが拙著『顧客創造実践講座』だ。