燃費がいい車としてまず思い描くのは、ガソリンハイブリッド車だろう。だがここにきて、パワーと経済性と環境性能を高いレベルで兼ね備えるクリーンディーゼル車が、注目を集めている。

なかでも、新開発のディーゼルエンジンで攻勢を掛けているのがマツダだ。燃費の良さというディーゼルの美点はそのままに、有害な窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)を、触媒などの後処理装置なしでも環境基準をクリアできるレベルまで低減(粒子状物質(PM)の回収装置は装備)。他メーカーに比べ、数年先をいく技術だ。

後処理装置が不要な分コストも安く、低価格の小型車に搭載しても価格競争力を維持できる。たとえば、先日、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した同社のデミオのディーゼル仕様車の場合、同じ車種のガソリン仕様よりはやや高いが、トヨタのハイブリッド車アクアとはほぼ同等の、180万~200万円弱。エコカー減税(自動車取得税および初年度の重量税を全額免税。デミオの場合6万7000~7万2400円)の対象で、クリーンディーゼル補助金(同1万~5万円)も受けられる。

燃費はどうか。カタログ燃費ではハイブリッド車に見劣りするディーゼル車だが、実用燃費はほぼ同等。同クラスのガソリン車より30~40%も優れている。軽油価格がガソリンより約15%安いことを考えると、ハイブリッド車と比べても経済的だし、ガソリン車からの乗り換えでは燃料代の半減も期待できる。CO2換算するとガソリン車よりも10%くらい排出量が多いのは、軽油の成分が異なるからだ。